1191:お礼を要求されよう。
「うん、良かったねぇ」
こっちにてこてこ走って来たので、手に乗せてからなでなでしてあげた。
やりたそうにしてたから手に風を当ててもらってみたけど、確かに微妙に暖かい風とひんやりした風だな。
本人は楽しそうだし、役に立つかどうかは置いておこう。
「ふむ」
ん?
「よし、私も撫でるがよい」
「なんなんですか…… いや、感謝はしてますけど」
さっきのラキみたいなノリで走って来られても困る。
こんな精密な品を作ってくれたんだからお礼をするのは当然だけど、なんでそういう方向に走るかな。
……多分、理由の半分くらいは私のこういう反応を楽しんでるんじゃなかろうか。
人をおもちゃにしないでもらいたい…… って言いたいところだけど、今の私って人間というか人類をおもちゃにして遊ぶ様な種族だから、人の事はあんまり言えない気もするな。
仕方ないので手を床に降ろしてラキと交代してもらい、少しだけそーっと持ち上げる。
「と言いますか、ラキ相手と違って力加減が難し過ぎるんですけど」
ラキなら私が全力で押さえつけたとしてもびくともしないんだけどなぁ。
私はシルクやコレットさんみたいに器用じゃないのだ。
「なに、多少の間違いが有ったとしても怪我はせんのだ。気にせずむにっとやって構わん」
「まぁそういうなら…… いや気にはしますけどね?」
例によって引いてくれなさそうなので、諦めて指をそっと乗せ…… いや、触れるか触れないか程度を見極めていこう。
今乗せかけた時点でちょっと危なかった気がする。




