1180:事故には気を付けよう。
「えーと…… まぁとりあえず、お手伝いしてくれるかな?」
「アリア様の奇行は置いといて」という一文は飲み込んでおく。
いや、まぁ言っても良いんじゃないかってくらいには色々やってるけどさ。
別に言われても怒らないだろうし。
あ、頷いてくれた。
いや、まぁ嫌がられても困るけど。
とりあえず、まずはこっちの準備を終わらせないとな。
糸を指から出して先端を棒に……
いや、いっそ指を棒に当てた状態で粘着糸を出せば、直接付けられるか。
くっついたら粘着力の無い状態に切り替えて、にゅるーっと出しながら手を引けばオッケーだ。
……全部同じ長さで出すの、ちょっと難しいな。
まぁ巻き取る時にちょっとたるんでても、そこまで問題は無いだろう。
「それじゃ、横のハンドルをゆっくり回して、巻き取っていってね」
こくんと頷いて、クリスからするとちょっと大きめなハンドルを両手で持って回し始めてくれた。
そんな「私で大丈夫ですか……?」みたいな顔しなくても、別に難しい事じゃないから大丈夫だぞ。
初めてでも安心だしアットホームな職場だよって言うと、なんか逆に黒い雰囲気が漂うのは何なんだろうね。
いや、今は関係ないしどうでも良いんだけど。
……しかしこれ、魔法の出力調整の訓練にちょっと良いかもしれないな。
近いし同じ出力で良いとは言っても、なんせ十か所同時だし。
ぼーっとしてるとたまにちょっと出し過ぎたり、足りなくて引っ張られそうになったりするんだよね。
出し過ぎるのはともかく、引っ張られるとクリスが焦るから、そっちは気を付けた方が良いな……
悪いのはぼーっとしてるこっちだから気にしなくて良いんだよ。
……というか、これクリスは大して力を入れてないのに一方的に引っ張られてるって事は、最悪の場合私の腕ごと巻き込まれていく可能性が有るって事か。
棒と台座の間に私の通るスペースは無いし、そこまで行ったら大怪我っていうか死亡事故だろうな。
いや、まぁスイッチ入れたら動き続ける機械と違って、気付いた時点ですぐに止めてくれるだろうからそこまでは行かないだろうけど。
……でもお互いにぼーっとしてたら有り得るってのが怖いな。
ちゃんと気を付けてはおこう。




