1169:聞くだけ聞いておこう。
「ふーむ」
「どうかしましたか?」
アリア様がなにやら、注がれた魔力を手で混ぜたりすくったりしてみてる。
「いやなに、色々と興味深いと思ってな」
微妙に曖昧で「そうですか」くらいしか返せそうにない答えが。
まぁ単に一言で返したってだけの事だろうけど。
「短時間で染み込むのだから当然と言えば当然だが、手に持っておく事は出来ん様だな」
「いきなりパッと見せられても、小さくて見づらいですね……」
「まぁ良くは見えずとも、そうなのか程度で構わんだろう」
「まぁ、はい」
じゃあなんで見せたんだと言いたいところだけど、それもやっぱり深い意味は無いんだろう。
「染みきって余った分が透過して行ってる感じですかね?」
「その様だ。……ふむ」
手に着いた魔力をぴっと払いながら、何やら呟くアリア様。
……また何か変な事でも思いついたんだろうか。
「一度馴染んだものは、絞っても出て行く様子は無い様だな」
「そうですね」
アヤメさんが自分の手首をきゅっと握って、魔力の動きを確認してみてる。らしい。
……検証みたいな事を始められたら、追加を注ぎづらいんだけど。
まぁ別に急ぐ理由は無いから良いんだけどさ。
「という事はだな」
「一応聞きますよ」
アヤメさんもどうせツッコむしか無い様な事言われるんだろうなって思ってるな、これ。
丁度良いからその辺は任せておこう。
油断してると一緒になってからかってくる可能性も有るけど。
「一度上がって余分な液を落としてから魔力を固める事で、実に精巧な人形が出来上がるという訳だ」
「……そりゃまぁ本物ですしね」
うん、精巧とかそういう話じゃないよね。
「そんな怪談みたいな…… いや、なんか昔の【妖精】は本当にやってそうで怖いなぁ……」
なんせ【妖精】だし。
「うむ。【妖精】の家や施設に、観賞用の人形達が並んでいたとしても不思議では無いな」
「なんつーか、本当に有りそうなのが怖い」
「うん」
結構一杯攫ってたんだろうし、有り得なくはないよなぁ。
……まぁアリア様は逆にこっちを棚に飾ろうとしてた様な気もするけど。
いや、そんな気配が出てただけだけどさ。




