1146:逃走に失敗しよう。
「大丈夫ー?」
「あー、まぁなんとか……」
椅子の高さまで下りてみたらアヤメさんがぐんにょりしてたので一応声をかけてみる。
その寄りかかってるの王女様だけど良いんだろうか。
まぁコレットさんが止めないって事はセーフなんだろう。
「すっ飛ぶかと思った……」
「まぁうん、ぴーちゃんが任せてって顔してるけど、そういう問題じゃないよね」
「ないな。いや、ぴーちゃんに問題が有るわけじゃないぞ」
そんなーって顔してるぴーちゃんにフォローを入れるアヤメさん。
うん、そもそも吹っ飛んだ時点で怖いんだから、ぴーちゃんがどうこうでは無いのだ。
「ところでなんで下りたんですか?」
「いやなに、机の上では少々都合が悪いのでな」
ん、何か意味があるのか。
「都合ですか?」
「うむ。さ、降りるぞ」
「ん? あぁ、はい」
なんか後ろのアヤメさんに降りる様に促して、自分も続いてシェラの背中から飛び降りた。
こんな所で降りちゃったら閉じ込められた様なものだろうに。
いや、机の上でも比較的広いってだけで、そこから出られないのは同じ事だけど。
「さて、という訳で白雪」
「はい?」
「実験の続きと行こうじゃないか」
「ん、続きですか?」
一通り終わったと思うんだけど、まだ何か有ったっけ?
「うむ。……む、まぁ待ちなさい」
「うおっ」
……なんかシェラのもふもふ毛皮に掴まって乗り直そうとしたアヤメさんを、アリア様が背後から腰のあたりにしがみついてひきずり下ろしてる。
何をやってるんだって言うか、気を付けないともふもふが抜けてしまうのでは。
いや、まぁそこは大丈夫か。
「巻き込まないでくださいよ……」
「そう言うな。きっと良いものだぞ?」
「諦めるか……」
「うむ。人生、時として諦めも肝心だろう」
多分そんな大きいお話じゃないよね。
まぁどうでも良いんだけど。
というかアヤメさんは解ってるみたいだけど、何なんだ?
当の私が理解してないんだけど。
「あれ?」
なんかシェラがコレットさんを降ろして机に戻っていった。
「では白雪」
「あ、はい」
「巨大化するがよい」
「……はい? あぁ、【妖精山脈】か」
「うむ」
使うのは良いんだけど、気を付けないとまた死ぬ羽目になるからなぁ。
まぁそれを知らない人は周りに居ないんだから、私が気を付けてれば問題無いか。
「良いんですけど、大きくなってどうするんです?」
「む? それは当然、我々をふみふみするのだ」
「……はい?」
何を言ってるんだこのお姫様は。
「カトリーヌだけというのは、不公平というものだろう?」
「いや、だろうと言われても困るんですけど……」
だからアヤメさんは避難しようとしてたのか……
アヤメさん、今日は厄日か何かなのかな。
いや、大体私……というか私関係が原因だけど。




