1111:くるくる巻き付こう。
「クリス様、少しよろしいですか?」
ん?
これからやるぞーってところで、どうしたんだろうか。
置かれた石に手を当てて魔力を……
あ、なるほど。
粘土状にした石に破片を埋め込んでいっただけだから、表面に破片の角が一杯出てたもんね。
クリスとしてはそのまま使っても大丈夫って事なのかもしれないけど、見てる側はちょっと気になるな。
……ん?
でもあれ、中の一体化してなかった破片まで綺麗に混ぜちゃって、強度が更に増しちゃってるんじゃないのか?
まぁクリスは恐縮と感謝が混ざった様な微笑みを浮かべてるだけだし、別に気にしなくて良いか。
「失礼しました。ではどうぞ」
魔力を抜いて手を離したカトリーヌさんに頭を下げ、するするっと石の周りを自分の胴体で囲んでいく。
石もある程度大きいとはいえ、クリスの長さなら四周くらいは行けそうだな。
あ、二周で止まった。
石の上に手を置いてこっちを見てきた。
やりますよーって事だな。
「うん、良いよー」
「こちらの心の準備が、ですわね」
「まぁそれも有るかな」
うん、残ってる木の棒は巻き付くには細すぎるだろうけど、だからといって石を使うなんて選択肢は普通なら無いしね。
大体想像は付くというかこの子の性格を考えたら、披露する場面で出来ないかもしれない物には挑戦しそうにないし。
それじゃいきますと頷いて、石を両手で押さえて……
「おー、凄い」
「凄まじいものですわねぇ」
お腹の中とは違って流石に結構力を入れてたけど、当然とばかりに岩を砕いて見せてくれた。
上を押さえてたのは、砕けた時に破片がこっちに飛ばない様にしてくれたのかな?
うん、予想出来てたから薄めの反応になってるけど、本当に凄いというかおかしいよね。
どういう圧力がかかったんだよ。
……あ、でもこれ、やっぱり戦いには使えないのか。
この子がああやって敵に巻き付いていくのとか、あんまり想像できないし。
さっきみたいにパニックになってれば別だけど、それならそれで噛みつきだけで十分そうだしなぁ。
……っていうかお姉ちゃん、下手したら指を噛まれるだけじゃなくて腕までやられてた可能性も有ったのか。
石が砕けるなら人間の腕なんて、余裕でクシャっと行けちゃうだろう。
この子も召喚獣だし、私を守るためだったり命令されたりなら頑張れるのかもしれないけど、そういう状況もそうそう無いだろうな。
別にクリスに限った話じゃないけど、無理してまで戦ってほしい訳じゃないし。
召喚士としてはどうなんだよって話ではあるけど、まぁ仕方ないよね。




