1104:実際に見せてもらおう。
「……にしても、流石にちょっと狭いね」
私がデカいのは置いといても、カトリーヌさんも小さいほうじゃないし。
元々狭いうえに二人とも浮いてるから、逆にてっぺんで頭がぶつかりそうになってるな。
ちょっと横にズレておこう。
……これ、クリスからしてみれば大分怖い光景なんじゃなかろうか。
「……と言いますか、私が入る意味は有ったのでしょうか」
「いや、訊いた本人だしそもそも自分から入ったんでしょうに」
「それもそうですわね」
私が入れって言ったみたいに訊かれても困るよ。
あと仕方ないけど顔が近い。
別に困りはしないし離れるスペースも無いけど。
「まぁそれは置いといて、本題に入ろうか」
「そうですわね。蛇と聞いてイメージするのは、毒や丸呑みに巻き付きと言ったところでしょうか」
「そんなとこかな? 毒を使えるのはもう聞いたけど」
実際に使ってはいないけど、そんなのを気軽に試すわけにもいかないし。
それを口に出したら自分でやれとか言いそうな人は目の前に居るけど。
「あら、どれも使えるのですか?」
クリスが「大体そんな感じです」みたいな頷きをカトリーヌさんに返してる。
というか、期待に応えられてなのかちょっとだけ誇らしげだな。
控えめ過ぎて殆ど判らないけど。
「まぁさっきの一瞬の間で、しかも無音で食べてたんだし丸呑みは出来るか」
齧ったりしてたら殻の割れる音くらいは聞こえてただろうしね。
「卵も入れて頂けている事ですし、改めて見せていただいてもよろしいですか?」
「まぁ見せてもらうために入ってるんだけどね」
「はい」
カトリーヌさんの言葉に頷いてるクリスを見つつ、軽く揚げ足を取っておく。
取る意味は特に無いけど。
クリスがにょろっと少し動いて、両手が回らない様な大きさの卵を抱え上げる。
こうして見ても、やっぱり無茶にしか見えないサイズだなぁ。
小さく口を開けて卵にそっと口を付けたけど、そこからどう……
「はっ?」
「はい?」
……カトリーヌさんと似た様な声を上げてしまった。
いや、それは良いんだけど何だ今の。
特に魔力とかは感じなかったけど、クリスの口元で空間が歪んだみたいになってたんだけど。
みたいにって言うか、多分あれ歪んでたんだろうな……
それまでのサイズとは関係……無いのかは知らないけど、クリスの顔の前に来た部分だけが小さいお口に収まるサイズまで圧縮されて吸い込まれて行ってた。
途中のおかしな形になってる時も残りの殻が割れたり歪んだりはしてなかったし、物理的に圧縮してる訳じゃないんだろうな。
魔法じゃないっぽいし、種族固有の謎特殊能力なんだろうな……
あ、お腹まで行くと元に戻るんだ。
胸から下だけ数倍の太さになって、すごく動きづらそうだ。
「大丈夫ですか?」
カトリーヌさんの問いかけにこくりと頷いて、お腹に手を当てて軽く力を……
……うん、「んっ」て感じの気軽な仕草だったけど、中にかかった力はそうでもなさそうだな。
締め付けで一瞬で殻が砕かれたのか、さっきみたいにちょっとぽこっとしてる程度になった。
……いや、砕いたにしても中身の量は変わらないはずだし、ある程度蛇の部分に流れたにしてもおかしいでしょうに。
まぁそれを【妖精】が言うのかって話になりそうだけどさ。




