1103:視線から逃れよう。
ゆっくり近づいてきたカトリーヌさんが、握手しようとそっと手を差し出していく。
「クリス様、そんなに緊張せずとも…… と言うのも無理な相談の様ですわね」
「まぁその辺は無理強いしても仕方ないしねぇ」
大人しい子だし、ラキ達くらい堂々としろって言うのはちょっと無茶だろう。
まぁお互い、ちょっとずつ慣れていけば良いよね。
「ところでクリス様は、猛毒以外には何か特技をお持ちですの?」
あぁ、そういえば。
「もし何か有るなら試しに見せてほしいけど、どうかな?」
おや、なんだか微妙に困った表情になったな。
何か問題でも有るんだろうか。
「おかしな事をするわけでは無いが、あまり見られていると恥ずかしい、と?」
あ、頷いた。
「いや、なんでそんな理解出来てるの」
「なんとなく、ですわ」
まぁ注目から逃れるためにテントに潜り込んでいくくらいだし、恥ずかしがり屋さんなのは察せるけどさ。
「ふむ。では中で二人だけに見せてやると良かろう」
「で、後で言えと」
「まぁそこは無理強いしないが」
ああ、一応間接的に私の能力みたいなものだしね。
まぁ今までも全く隠してないんだし、今更言わなくて良いとか言われてもって感じはするけど。
「それじゃ、一緒に中に入っても良いかな?」
「お邪魔させていただきますわ」
クリスが頷いて引っ込んだのを確認してから、二人で…… 一緒に入るにはちょっと入り口が狭いから、カトリーヌさんが通ってから入るとしよう。
うん、ある程度の大きさがあるとはいえ、三人も入ると流石にちょっと窮屈だな。
まぁ私たちは飛べるから、クリスのしっぽを踏んづけたりはしないで済むから良いけど。
「白雪、少し奥へ行ってくれるか?」
「あ、はい」
「適当に使いそうな物を入れておくから、好きにすると良い」
「ありがとうございます」
……何をするかは解らないからか、結構色々突っ込んできたな。
私達から見れば抱える様なサイズの石とか丸太とか、細めの枝とかさっきと同じくらいの卵とか。
「ではクリス、頑張るのだぞ」
入り口から片目だけ見えてるアリア様に、深々とお辞儀するクリスちゃん。
……なんていうか、この見え方はちょっと怖いな。
これで指とか突っ込んでこられたら、ホラー映画か何かっぽいぞ。
むしろモンスター系か? いや、そこはどうでも良いんだけど。
あ、入り口に…… というか全体に布がかぶせられたっぽい。
布が二重になって外の明かりが更に遮られたし、ちょっとだけ光っておくとしよう。




