1097:迂闊な挨拶をしよう。
「それじゃ……」
いやちょっと待て。
握手してるレティさんが羨ましかったのか手を出すのは良いんだけど、勢いが……
「あぃたぁーっ!?」
……言わんこっちゃないよ。
隠れ家にずぼっと指を突っ込まれたクリスがパニックを起こしたのか、お姉ちゃんの人差し指にがぶっと噛みついたらしい。
らしいって言うか、びっくりして引き抜かれた指に噛みついたまま、涙目でぶらんぶらんしてるけど。
……なんていうか、上手に釣れましたーみたいな見た目だな。
「アホかあいつ」
「お姉ちゃんですし」
「ひどい!」
ジョージさんの呆れた声に同意しておく。
いや、うん、今の流れだと仕方ないでしょ。
さっきの動き、クリスが綺麗に抜けたから良かったものの、変に引っかかってテントごと行ってたら、横に居た私まで巻き込まれて死んでただろうし。
「外そうとして振り回さない辺りは褒めてやっても良いと思うがな」
「まぁそこは確かに」
苦笑気味なアリア様の言葉に頷きつつ、クリスを回収しにお姉ちゃんの手元へ向かう。
……しかしクリスちゃん、強靭なあごと首だな。
まぁ他の子と同じで、一般サイズの仕様って事なんだろう。
「はい、じっとしててね」
「はーい……」
動かれると死ぬので、じっとしててもらわないと困るのだ。
まぁ私が死んでも外れはするけど、それやらかしたらまた集団で襲われるだろうしね。
「はいはい、大丈夫だよー。虐めようとした訳じゃないから、離してあげようね」
後ろからそっと抱っこしても食いついたままだったので、ぷにぷにっとほっぺを突っついてみたら口を開けてくれた。
それじゃそのまま下がろう…… って、器用に反転してまた顔をうずめてきたな。
よしよし、あっちに戻ろうね。
「許してあげようねとは言ってくれないんだ……」
「いやー、そこはまぁ本人次第かなって」
「むぅ」
まぁうん、びっくりしただけだと思うから、多分そこまで嫌われては……
あ、いや、多分ダメだこれ。
ちょっと離れても警戒してるっぽいし、ラキの二の舞かな?
「まぁ懲りないあんたが悪いな」
「言い返せない…… って待ってラキちゃん、虐めてないし反省して…… うん、ちゃんとしてますってば」
しょんぼりと席に着いたお姉ちゃんを、ラキが威嚇しに行ってる。
うん、まぁ被害者仲間だしね。
あ、ぴーちゃんも肩に止まってぺしぺしと軽くお仕置きし始めた。
なんていうか、二人セットでお姉ちゃんへのお仕置き要員みたいになってるな……




