1087:打撃を加えられよう。
「ではコレット、試してみるが良い」
「はい」
いや、誰がとかじゃなくて打撃を貰うのが怖いんだけど。
そりゃコレットさんの方が安心感は有るけどさ。
「失礼します」
確認のためなのか、さっきのアリア様みたいにボールを持って動かそうとしてくる。
押し付けられた掌がむにむにと変形してるのって、あんまり見る機会はないから新鮮ではあるな。
見てて楽しいかって言われると別にって感じだけど。
っていうかコレットさんの手、あんな高出力な割に普通に柔らかい女の人の手だな。
メイド仕事もしてるだろうに、全然荒れてないし。
王女様の傍にぴったり付いてる人だし、身だしなみとしてしっかりケアしてるんだろうか。
……いや、なんでボールを支点にして逆立ちしたの。
スカートめくれ…… ちゃう事は無いんだろうな。
手で覆われてるし位置的にも確認は出来ないけど、コレットさんだもんね。
「では、お気を付けください」
「あ、はい」
いや、コレットさんの打撃なんてものは、気を付けても無駄だと思うんだけどね。
抵抗するとか回避するとかいう以前に、復活してからやっと気づくんだろうしさ。
ん?
離れずにその場で構えるっぽいけど、これじゃ流石に近くない?
握った拳がボールの目の前に置かれたけど、そこからどうするんだろうか。
三センチも離れてないでしょこれ。
……まぁ微妙に嫌な予感がするから、壁面には絶対に触れない様にしておくけどね。
あと一応、耳は押さえておこう。
「ふっ!」
「おわっ!?」
コレットさんの気合と共に、ドゴンッて感じの凄まじい音と、わずかな揺れが伝わってきた。
なんであんなほぼ密着した状態から、重機の鉄球でもぶつけた様な音の出る打撃が放てるんだ……
あ、コレットさんだからか。
用心して中央に浮いてて良かったんだろうな。
多分壁に触ってたら、伝わる衝撃だけで爆散してたかもしれない。
っていうかコレットさんなら、そういう鎧通しみたいな技術も普通に持ってそうだし。
いや、出来たとしても流石に今の状況で使いはしないだろうけどさ。
……ん?
というかあの音、どこから出てたんだ?
そんな音が出るような揺れ方はしてないし、コレットさんの手から出るわけも……
あ、コレットさんの足下がクレーターみたいにでっかくへこんでる。
どんな踏み込みだよっていうか、芝生のお手入れしてるモニカさんが悲しそうな顔してるんだけど。
なんていうかうん、私のせいじゃないとは思うけど心の中で謝っておこう。
ごめんね。




