1084:パーツを増やしてみよう。
まぁ実用性は元々無いだろうし、別に改善できなくても……
「む」
と思ったけど、アリア様がまた何か案を思いついたっぽいぞ。
なんかちょっと意地になってない?
「白雪、もう一度良いかな?」
「もちろんですけど、今度はどうするんです?」
「二人で駄目なのであれば、増やせば良いのではないかと思ってな」
「あー」
確かに、引っかかる所とか角度も増えそうだな。
形が複雑になると、準備が大変そうだけど。
「でも、どう配置したものですかね?」
「とりあえず、一度分身を解除してみてくれ」
「はーい」
言われた通りに解除して、背後の分身を消しておく。
普通の魔法だったら【吸精】で回収出来るけど、分身から吸ったりしたらダメージ共有って事で本体からも吸われるだろうしなぁ。
しかも分身も同じ様に本体から吸うんだから、下手したら更に倍になるのか。
吸った分が完全に吸収できるわけじゃない以上、無駄にMPを減らしていくだけになるだろうな。
ん?
もしかして【吸精】の経験値がローリスクで稼げるのか?
……いや、どうせそう思って試したりしたら、MPが減りまくった上に経験値は入らないとか、そういう酷い目に遭うんだろう。
引っかからないからな。
まぁそんな事は良いとして、アリア様の話をちゃんと聞こう。
覚えてたら一応試すかもしれないけど。
「まず、張る障壁の形状なのだが…… 単純に、先ほどの物を更に半分にすれば良いだろう」
「こんな感じですか?」
「うむ」
半球状だった障壁を、更に縦に真っ二つにした様な形にしていく。
……微妙に狭いけど、まぁ身動きは取れるから大丈夫だな。
「って事は、四人になれば良いんですかね」
「うむ。左右…… で良いのかな? の二人は、上下逆さになる様にな」
「あ、はい。言いたい事は解ります」
本体の真横ではないけど、それぞれ前後左右って配置で呼ぶなら左右だもんね。
で、それぞれがお互いに背中合わせ、と。
「えーと…… これ、さっきと違って位置に気を付けないとマズそうですね」
「うむ」
さっきまでのはちょっとくらいずれてても修正が効いたけど、今度は上手く組み合わせる事が出来なくなりそうだ。
でもまぁそこを意識してさえいれば、ゲームの方でそうなるように修正してくれるだろう。
なぜかその辺は妙に親切だし。
「それじゃ、やってみますね」
一応アリア様に向かって宣言してから、三人の分身を背後に出現させる。
えーと…… うん、ぱっと見は良い感じに配置出来てるな。
んじゃ、そっと後ろに下がって行って……
「がしょーん」
「いや、効果音は要らない」
私の位置からは見えないエリちゃんに、前を見たままでツッコミを飛ばしておく。
視界を拾ったり入れ替わったりすれば見えるけど、別にそこまでする必要も無いだろう。
というか、このサイズだとせいぜいカチャッて鳴る程度じゃない?
いや、本当にどうでも良い事だけど。
「ふむ、綺麗に合わさるものだな」
「自分でもびっくりですね」
補正してくれる事は期待してたけど、まさかここまで綺麗なボールになるとは。
……四人も入るなんて事を想定したサイズじゃないから、割とギチギチに詰まった感じになってるけど。
「では、少し触ってみるぞ」
「はーい」
そーっと近づいてくるアリア様の指を見ながら、持ち手を握って身構える。
一応動かされても良い様に、【浮遊】での移動は意識しておこう。
「……ふむ、ふむ」
「大丈夫そうですねぇ」
「うむ」
いろんな方向からつんつんされてるけど、上から押さえられた時にちょっとズレたくらいかな?
「……む」
「え、何ですか?」
「少し気を付けてくれ」
「あ、はい」
気を付けるのは良いんだけど何を……
って、両側からわしっと掴まれた。
両側っていうか斜めから持ってるし、二つずつ掴んでるみたいだな。
頑丈な壁が有るとはいえ、自分の周囲をがっしり掴まれると結構圧迫感が有るなぁ。
私達の入ったボールを掴んだアリア様が、軽く力を込め……
「おっ、とっ、とぉ?」
「うむ、やはりか」
たと思ったら、私の居る空間がゆっくりと回転し始めた。
……あー、私の右側から上に向かって回したら、左後ろの私が同じ回転軸で連動して動く位置関係なのか。
右後ろと真後ろの二人は、同じ速度で逆回転だな。
なんていうか、ルービックキューブみたいな動き方なのか?
パーツが四個しかないし、完全に反転させないと引っかかるけど。




