1074:見分けられよう。
「魔法は例外というか、分身した後に出した物は対象外なのかな?」
「んー、ちょっとアイテムボックスから何か出してみ?」
「ああ、どうなるんだろ」
そういう特殊な空間的な所まで一緒に分身してるんだろうか。
でも私の収納って、やたら濃い魔力の塊だらけだしなぁ。
そこまでコピーしてたら、消費MPとかすっごい事になりそうだけど。
まぁ考えるより試してみる方が早いな。
適当な魔力結晶を掴んで、と。
「……んー、本体だけみたいだねぇ」
「流石にそこまでは増えないんだな」
とりあえずMPも減ってるし、せっかく出したんだから吸っておこう。
どうせこの後もガンガン減っていくだろうし。
「にしてもこれ、アイテムを取り出したら本体がバレちゃうんだなぁ」
「まぁ今はその様な事をしなくても、見分ける事は容易だがな」
「え?」
おや、アリア様が何やら違いに気付いたらしい。
見た目とかは完全に一緒のはずだけどなぁ。
入れ替わる時にも何も無いって言ってたし。
「今はどれが本体だと思います?」
とりあえず下に居る私と入れ替わって、アリア様に確認してみよう。
「下に居るのが白雪だろう?」
「むぅ、正解です」
なんか即答された。
容易って言うのは本当らしいな。
「じゃあ今は?」
「私から見て右、だな」
「それじゃ今度は」
「変わっていないな。そのまま右だ」
変わったとだけ言ってみてもダメか。
普通に即答されてしまう。
「あー、なるほど。雪ちゃん雪ちゃん」
「ん?」
なんかお姉ちゃんにも解ったらしい。
というか、お姉ちゃんだけじゃなくてみんな気付いてるっぽいな。
「入れ替わってみて?」
「はい、どれが正解でしょう」
「えっとねー」
ん、指を出してきた。
「これー」とか言って突っついたりしないだろうな。
「こっちだねぇ」
「あー、うん、当たってる」
そんな簡単に見分けがつくものなのかぁ。
何か欠陥でも有るのかな?
「何か見分け方が有るの?」
「雪ちゃん、素直だからねぇ」
「え?」
「白雪さん、こっちを向いていただけますか?」
「ん」
レティさんに後ろから呼ばれたのでクルっと反転。
あえて真後ろから呼ぶのは、私の配置の問題かな?
「簡単に言いますと」
「うん」
なんだろう?
「今目が合っているのが本体ですねぇ」
「……あ」
うん、それは解りやすいね。
本体以外はなんか変な所見てるんだもんね……
「雪ちゃん、律儀にちゃんと向き合うからねぇ……」
「さっきも指で視線を誘導されてたからな」
……それでわざわざ指を出してきたのか。
「今は同じ方を向いてるからマシだけど、配置次第でもっと露骨な事になるだろうねぇ」
「……訓練しないとバレバレかぁ」
何か有ったら、ついそっちを向いちゃうもんなぁ。
あ、アリア様が「今は」って言ったのはそういう事か。
私が慣れてないから見分けられるけど、使いこなせば別だもんね。
……あれ?
別に本体がどれか判別されたとしても、実はあんまり問題無いんじゃないか?
偽物をぺちってするだけで本体も死ぬんだから、実質全部本体みたいなものだし。
普通に使う分には、あんまり困る事はなさそうだな。
……ただ、うん、今のはかなり恥ずかしかったな。
言われるまで気付いてなかったし。




