1070:位置をずらそうとしてみよう。
さて、とりあえず防御面の弱みを再確認したけど、後は何が有るかな?
「白雪」
「あ、はい」
「帽子を乗せてみてくれるか?」
「はーい」
静かに差し出されたアリア様の人差し指に、かぶっていた帽子をそっと乗せて離れる。
同期してたのは見てたと思うけど、まだ何か気になる事が有るのかな?
「ふむ……」
右手に真ん中の帽子を乗せている状態から、左手の人差し指に左側の帽子を乗せて右手を離す。
重心は関係ないとはいえ、バランスの悪い見た目だな。
「位置は変わらんのだな」
「みたいですね」
アリア様が指を傾けると、他の帽子も同じ位置のままで傾いていった。
私も向きを変えるとそうなるし、そういうものなんだろう。
「帽子がダメになるかもしれないが、構わないか?」
「そりゃまぁ、アリア様が良いって言うなら」
何をする気なのかは知らないけど、こっちに文句は無いかな。
もともとアリア様の物だったっていうか、そもそもさっきそうなるかもって言いつつ皆で美味しく頂いてたじゃないの。
「では、やってみようか」
左側の帽子を指に乗せたまま、右手で右の帽子をグッと押さえる。
指一本とはいえそれなりに力を入れてるみたいだけど、帽子がクシャって潰れてるだけで位置自体は全く動いてないな……
「ふむ……」
おや、ぺたんこになった帽子を机に置いたな。
圧縮されたとはいえ完全に壊れてるわけではないから、圧力から解放されてじわじわ戻っていってる。
「コレット」
「はい」
アリア様に呼ばれたコレットさんが、何やら小さい板を二枚差し出した。
ちょっと薄いけど、金属製っぽいな。
というか何も言ってないけど、やっぱり用件は解ってるんだな。
相変わらずというかいつも通りだけど。
コレットさんから板を受け取って、一枚を机の上に置いて帽子をその上に乗せるアリア様。
で、もう一枚を右の帽子の上に添える、と。
なるほど、指だと弱いしちょっと食い込んで痛かったのか。
あれならある程度体重をかけられるし、下に敷いてれば机も無事って事だな。
っていうか、なんで上じゃなくて横の帽子なんだろうか。
あ、単純に位置が高くて押さえづらいからか。
……しかしコレットさんやモニカさんなら、あれが無くても指だけでそれ以上に圧縮できそうだけど、黙っていよう。
アリア様がやりたいっていうのが、一番優先される事だろうし。
あとその位の事は解った上でやってるんだろうし。




