1067:自分の肩を揉もう。
「まぁうん、気を取り直して」
「無かった事にはならないと思うぞ」
「うん」
そこは仕方ない。
「なんて言うか、自分のとは言え顔の横に足が有るの、めっちゃ気になる」
「それはそうだろうねぇ」
「普通にしてると肩踏んじゃうし…… ん?」
「どしたの?」
「いや、うん、なんていうか、丁度良い距離だなこれ……」
ぐっと脚を伸ばそうとすると、自分の肩にセルフ足踏みマッサージをする羽目になってる。
【妖精】の足が無駄に柔らかいのもあって、意外と悪くない感じになってしまった。
「あー、まぁやるのが自分なら、良い感じに加減は出来るだろうねぇ」
「カトリーヌみたいであんまり言いたくは無いんだけど、あれ本当に柔らかいしな」
「なに、あの様な特殊な趣味が無くとも、あの感触が素晴らしい事は事実なのだから気にする事は無かろうよ」
「こっちとしては気にしてほしいんですけどね」
「はっはっは」
王女様の顔を踏まされる身にもなってくれ。
逆にこっちもそんな趣味は無いんだよ。
「それはともかくとして、少し前に傾けばひとまずは解決するのでは?」
「あ、そっか」
レティさんの忠告に従って、ちょっとだけ角度を変えてみる。
うん、別に私たちは重力に従って生きてないから、地面に垂直になってる必要は無いしね。
これなら頭の後ろに足が有るから、視界に入って気になる事も無いだろう。
……油断して脚を動かしたら自分の後頭部を蹴りかねないけど、まぁそれはさっきまでの角度でも同じだし。
「では代わりに私が」
「いや、意味解んないから」
「むぶっ」
カトリーヌさんがスッと下の分身の足下に入ってきたので、自分の頭を蹴らない様に気を付けつつ、右足の裏を正面からべちーんと叩きつけて排除しておく。
……わざわざ相手してると、変な技が上達していきそうで怖いな。
今のも何となくやっただけなのに、妙に綺麗に引っ叩けたし。
「ありがとうございます」
「次はツッコまないからね」
「はい」
いちいち反応してるとキリが無いし、放っとかれるのもそれはそれでオッケーなんだもんね。
構ってほしくてエスカレートしていくのでもなければ、ツッコむ労力が省けてこっちも楽だし。
……いや、触れてるんだから気になりはするけど。
そこは諦めよう。
別にセクハラとかそういうので通報するほど嫌って訳じゃないし。
単純にどうなのってだけで。
お姉ちゃんみたいに普通に抱き着いてきたりするくらいなら、別にそんなに気にしないもんなぁ。
慣らされてるとも言うけどさ。
というか変な意味さえなければ、むしろ歓迎かもしれない。
現実の私だと、触れ合うどころか手の届く距離に人なんて来ないし。




