1062:入れ替わってみよう。
「おー、綺麗に揃ってるねぇ」
「完全に同じって、動きまで全部同じって事なのか……」
うん、流石にそこまで一緒にされるとは思ってなかった。
……ん?
でも自動操縦で「一般的な【妖精】」の振舞いをされても困るな……
それに比べればまだマシではあるか。
「とりあえず、入れ替わりを試してみよう」
一応宣言してみたものの、どうやれば良いんだろうか。
まぁいつも通り、そうなれーって思うとか宣言するとかすれば大丈夫かな?
うん、とりあえず今背後に居る、右側の分身に……
「うおぉぅ……」
「どうなさいました?」
「あ、今はこっち」
「あら」
真ん中の私に話しかけてるカトリーヌさんに、横から声をかけておく。
……向こうからしてみれば、正面に居た相手がいきなり横を向いて喋り始めてるのか。
変な感じだろうなぁ。
「思ったより瞬間的に切り替わってビックリしただけ」
「外見的には特に何も起きませんでしたわね。本人以外に判別する術は無さそうですわ」
「変な所で優秀なんだなぁ……」
動きも完全に同じなら、そこでバレる事も無いだろうし。
分身した後で受けた傷とか、そういう痕跡がどうなるか次第かな?
「今はこの白雪さんは偽物なのですよね?」
「うん。解ってると思うけど、カトリーヌさんから見て左側が本体だね」
カトリーヌさんの方を向いてるのが一体だけだから、改めて言う必要も無いだろうけど。
「試しに、少し触れてみてもよろしいですか?」
「……良いけど、普通に肩とかによろしくね」
一応言っておかないと、おかしなことを始める可能性があるからね。
まぁ流石に連続ではやってこないと思うけど。
「では失礼して……」
「んゎっ」
「あら?」
変な声が出てしまった。
私は触られてないのに、肩と背中にむにゅって感触がしたぞ。
っていうかカトリーヌさん、なんで分身の後ろから両肩に手を置いてぴったりくっついてんの。
普通に触れば良いだけでしょ。
「これは……」
「ふぉっ」
「触覚は常に共有されているという事でしょうか」
「ちょ、脇腹を突っつかないで……」
「申し訳ありません。解りやすいかと思いまして」
「それは確かにそうだろうけどさ……」
くすぐったいんだよ。
もっと静かに確かめれば良いだろうに。
「おや?」
「ん?」
「ご自分の左肩を見ていただければ、お解りになるかと」
「肩? うわ、なにこれ」
分身の肩をカトリーヌさんが指で押さえたら、私の肩も同じ形にへこんでる。
こっちには何もないから、見た目が凄く変な感じがするな。
「……ちょっと試しに、軽くつねってみてくれる?」
「はい」
分身の手の甲を差し出してキュッとやってもらったら、私の手の甲の皮膚もねじれて普通に痛い。
「どうでしょうか?」
「やっぱこれ、ダメージまで全員で共有するみたいだね……」
「なるほど。『馬鹿め! 全部本体だ!』という事ですわね」
「いや、それは確実に言ってる方がおばかさんだと思うよ」
まぁ私の場合は言う前に死んでるか、言ってる余裕がないくらいのダメージを受けてると思うけど。
結局これも、食らい判定が無駄に広がるっていうデメリット持ちかぁ……
たまには素直に強化してくれても良いんじゃないの?
そういう意味では、全く期待してないけどさ。




