1061:試しに増えてみよう。
「とりあえず、二つくらいで良いかな?」
「お試しなんだし、それで十分じゃない?」
どこまで増やせるのかも気になるけど、増やし過ぎるとお腹が空くしね。
おや、二体目は消費が十も減ったな。
だんだん減り方が緩やかになっていくタイプなんだろうけど、あんまり安いとなんか逆に怖いよね。
変に安すぎるお肉とか。
いや、これはそういう事じゃないけどさ。
「……そういえばこれ、どこまで離せるんだろう?」
「動かしてみれば良いじゃないか。私らは解らんよ」
「それもそうか」
二体目の人形を摘まんで、横に動かして…… って結構狭いな。
自分の感覚に直すと、五メートルも離せないっぽい。
ん?
試しに最初に出した方を同じ方向に持って行ってみたら、すんなりともっと遠くまで動かせた。
これ、それぞれの間隔が五メートル以内って制限なのか。
でも本体から離れ過ぎた場所に設定してると、普通に使いづらそうだな。
出る予定の場所に何か有った時、どうなるのか解ったもんじゃないし。
「うん、なんとなく解った」
「雪ちゃんが一人で納得してるから、こっちもなんとなくしか解らないんだけど」
「まぁ大体解ったけどな」
見てれば察せる程度の情報しか私も得られてないし、まぁ良いんじゃないかな。
言えよって話ではあるかもしれないけど。
うん、まぁ良いんじゃないかな。
まぁあんまり離す意味も無さそうだし、左右に少しだけ離して配置しておくか。
一応向きに意味が有るか確かめる必要も有るし、両方ともちょっとだけ内向きにしておこう。
「よし、これで良いかな」
パネルの隅っこに配置されてる保存ボタンをポチっと押すと、パネルの空いてたスペースに「設定1 消費MP:490~」って書かれた枠付きのボタンが表示された。
これを押せば使えるのかな?
「って、なんか消費に~って付いてるんだけど」
「さっきのと同じで、身に着けてるものもコピーするからなんじゃない?」
「あぁ、なるほど」
まぁ普通の服とかのコピーなら誤差程度だったし、気にしなくて良いか。
いまいち何を持ったらどれくらい増えるかって事が把握出来てないけど、まぁ暇な時に調べてみれば良いよね。
いざ暇になった時には忘れてそうだけど。
「それじゃ、やってみようか」
「一応離れてからにしろって」
「……解ってるよ、うん」
「絶対忘れてたよね」
「忘れてましたねぇ」
うるさいやい。
こっちだって変な事ばかりやらされてて大変なんだよ。
一応さっきと同じくらいには離れて、と。
「それじゃ、やってみようか」
「何事も無かったかの様に仕切り直してるね」
「ちょっと恥ずかしいんだろ」
ええい、やかましい。
まぁうん、諦めてさっきのボタンを押してみよう。
ん、パネルの表示が切り替わった。
さっき設定した配置を、矢印付きの丸で簡単に図解したものと、これを発動するためのボタンか。
あ、設定1って名前、書き替えられるっぽいな。
状況別とか陣形とか、解りやすく出来る様にって事かな。
まぁそこは今は放っておこう。
よし、それじゃ改めて発動ボタンをポチっとな。
お、これは自分自身には特に何も起きないタイプだな。
左右に光の塊がほわっと出てきて、人の形になっていってる。
さっきのに比べると、かなり生成が早いな。
「おー…… んん?」
右側に出現した自分自身を見ようと横を向いてたんだけど、なんかこっちに背中を向けてる。
設定の時には、ほぼ正面を向いてたはずなんだけど……
「んんん?」
いや、待て。
なんかこっちに背中を向けたまま、私と同じ動きをしてないか?
っていうか今、私の声が前と後ろからも聞こえてきた様な。
「あー、あー…… うわー、凄い変な感じ」
前後から全く同時に同じセリフが聞こえてきて、なんとも言い難い感覚に襲われる。
やっぱりこの分身、私と完全に同期して動くっぽいな。
試しに右手を少し上げてみたら、まったく同じタイミングで前の私も右手を上げてたし。
って事は、後ろでも同じ事をやってるんだろう。
……ああ、振り向いたら後ろの私も振り向くもんね。
完全に振り向いたら、結局背中しか見えないよね。




