1060:もう片方も見てみよう。
無視するのもなんか悪いし、「ダメでーす」って事で両手でバッテンを作っておこう。
あ、しょんぼりした。
何度も言ってるけど、管理するのが仕事なんだから倒れられたら困るんだってば。
「白雪」
「あ、はい」
アリア様に呼ばれて振り向いたら、指先に帽子を乗せて差し出してきてた。
とりあえずは問題無いみたいだから、素直に受け取っておこう。
「まぁ【妖精山脈】の方はなんとなく解ったから良いとして、もう一つの方はどうなんだろう」
「ダメそうなのは解ってるんだから、とりあえず開いてみなよ」
「前半は言わなくて良いよね?」
どうせ事実だろうけどさ。
まぁ言ってても仕方ないし、素直にスキルパネルを出してみるか。
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【蜃気楼】 基本消費MP:300 [設定]
自らの完全なる複製体を生成し、周囲に配置する。
生成数及び配置する座標は、任意の調整が可能。
効果中は、操作する個体を自由に変更する事が出来る。
本体以外の複製体が受けている視覚等の情報を、全て同時に確認する事も可能。
複製体の生成に要する消費MPは、同時に生成する量が増えるほどに緩和されていく。
なお、複製体の設置パターンは専用のUIによって五つまで保存が可能である。
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「うん、まぁ分身の術っぽい感じの名前ではあったし、あんまり意外ではない感じ?」
「……なぁ」
「ん?」
アヤメさんがめっちゃ怪訝な顔してる。
気になるポイントが有ったかな?
「これ、やっぱり絶対に罠が有るだろ」
「どの辺?」
「いや、なんで増やしたら消費MPが減っていくんだよ。そりゃまぁ一体当たりのだろうけどさ」
「……あー、確かに」
大体の魔法、規模を広げれば広げるほど加速度的に消費は増えていくもんなぁ。
「増えれば増えるほど、デメリットも増えていくって事なのかな」
「実際の所はやってみないと判らないけど、やっぱりそうなんじゃないか?」
うん、まぁやってみるのが一番早くて確実だな。
どれだけ議論してみても、正解かどうかは結局確認しなきゃいけないんだしね。
「専用のUIというのは、どういった物なんでしょう?」
「あ、そうだね。まずはそっちを開いてみようか」
なんかスキルパネルの一番上の方に設定ってボタンが有るし、これを押してみれば良いんだろう。
ポチっとな。
お、パネルの表示が切り替わった…… って、なんか正面にほわっとした光が浮かんでる。
おや、人の形に……っていうか【妖精】の形になった。
「あ、これが自分って事かな?」
「配置の基準点という事ですね」
多分レティさんの言う通りなんだろうな。
こっちに背中を向けてるし。
「えーと…… あ、これか」
追加ってボタンが有ったのでポチっと押してみる。
あ、隣にもう一つ、ちょっと青みがかった光が出てきた。
「これ、出した後はどう操作すれば良いんだろう?」
「手で直接触ってみたら?」
「ちょっと怖いけど…… あ、触れた」
光で出来た人形の腰のあたりを摘まむと、普通に持つ事が出来た。
少し動かして離してみたら、その位置に留まってる。
という事は、お姉ちゃんの提案で正解だったらしいな。
「これ、向きもちゃんと意味が有るのかな?」
「光のボールじゃなくてわざわざ人の形になるんだし、有るんじゃないか?」
「それもそうか」
……って、一体置くだけで百も消費MPが増えるのか。
いや、でも自分の分身を作るのに、たった百で済むなら逆に異常なのか?
しかもこれ、増やせば増やすほどコストが安くなっていくんだよね。
……うん、絶対に酷いデメリットが有るな。
もう一回死ぬくらいの覚悟はしておこう。




