1056:射程距離も確認しておこう。
「あー、もう消すよ?」
「うー」
うん、今のは良いよって事だよね。
ぷるぷるしてて解りづらいけど、一応頷いてたし。
一応ちょっとは回収できるから吸った方が良いんだけど、わざわざ取りに行ったり投げてもらったりも面倒だ。
どうせさっき死んだせいで、一度最大まで回復してるし。
「とりあえず、普通になってるって事で良いのかな」
さっきの感じだと、威力は「普通」ではなさそうだけど。
「ん? あと射程も短かっただろ」
「あ、そうか」
そうだそうだ。
そっちも【妖精】基準の距離になってたんだったな。
「威力は確認したんだし、今度は弱くした【石弾】で良いかな」
「誰も居ない方に撃てよ?」
「いや、流石にそれは言われるまでもないでしょ」
一応言ってみただけであろうアヤメさんにツッコミつつ、庭の端っこへ移動する。
普通の射程になってたら多分端から端でも足りないだろうけど、出来るだけ弱くしておけば何かに当たって落ちるだけで済むだろう。
その「何か」が人だったら、謝りに行く必要が出てくるけど。
「とりあえず小さくて丸い石にして、と」
河原に一杯転がってそうな、楕円形の小石を生成だ。
小さすぎても回収しづらくなるし、ピンポン玉サイズで良いだろう。
「む、良い感じ」
「……後で貰っとけば?」
……お姉ちゃんはなんで石の評価をしてるんだ。
別にあげるのは構わないけどさ。
「よし、発射ー」
判断しやすい様に、なるべくスピードも遅めにしておこう。
射程内だったらゆっくりでも落ちたりはしないはずだしね。
「って、えぇ……?」
ふわーっと飛んで行ったと思ったら、すぐに制御を離れて失速していったんだけど。
これ、まさかの射程だけ【妖精】基準か。
「徹底してんなぁ…… ん、ふっ……」
「意地でも遠距離で戦わせないつもりなんですねぇ」
「……みたいだね」
ほんと、開発は【妖精】を優遇したいのか虐めたいのか。
あとアヤメさん、何で笑いのツボに嵌まってるんだ。
そんなに面白い要素は無かっただろ。
防御面が弱体化してるのに射程が変わらないとか、デメリットの方が大きいんじゃないか?
しかも実際の距離は変わらなくても自分から見えてる光景は全く違うんだから、余計に対応しづらそうだし。
「ほほー」
いつの間にやら変な人が落ちた石を拾いに近くに来てた。
大丈夫だろうけど、一応気を付けて触った方が良いと思うよ。
「……欲しいならあげるけど、とりあえず魔力は抜いとくね」
「あ、うん」
弱めたから問題無いとは思うけど、一応ね。
差し出された手の上に有る石に触れて、するっと【吸精】。
物が石だから、吸い過ぎて朽ちたりしない分気楽に出来るな。
いや、別に朽ちたとしてもごめんって言うだけだけど。
わーいって言って戻って行ったけど、あんまり無駄な荷物を増やし過ぎない方が良いと思うよ。
いや、今更にも程が有るだろうけどさ。
たまに投げつけたりするみたいだし、貰ったりもしてるしあんまり言えないか。
……もし困るとしても、それは私じゃないから余計に言いづらいし。
まぁ問題が有るならパーティーメンバーの二人が注意するよね。
うん、私は気にしないでおこう。
もう二人とも諦めてるのかもしれないけど。




