1055:利点を調べよう。
「とりあえず欠点は解った事だし…… まだいくらでもありそうだけどそれは良いとして」
ほんと、油断してたら何が有るか判ったもんじゃないからな。
まだ罠が残ってるって常に思ってた方が安全だろう。
「そのリスクを負う分の利点も探っていくとしようか」
「魔法のペナルティ緩和だったか?」
「うん。多分、普通にサイズがまともになるって事じゃないかな」
「まぁそうだろうな。とりあえず…… 出すのは良いけど、火はやめとけよ?」
「流石の私も、そこまでおばかさんではないよ」
アヤメさんの「まさかやらないよな」って顔での警告に、苦笑しつつ手を振っておく。
周りは植木に囲まれてて足下にも芝生が敷かれてるって状況で、どれだけの威力が出るのか判ってない魔法で、いきなり火を放つほどには抜けてないぞ。
多分。
「他の属性も大抵問題が有りそうだし、無難に【魔力武具】で何か出してみようか」
「消すのも簡単だしね」
うん、石とかと違って吸うだけで処分できるしね。
……っていうか、迂闊に手の平サイズの石なんて手の上で吸って魔力を抜いたりしたら、乗せてた手が無くなりそうだな。
「ほいっと。……おー、普通のサイズだ」
五十センチくらいの大き目のボールを作ってみたけど、普通に【妖精】サイズの時と同じ感覚で作れた。
やっぱり大きさのペナルティが無くなってるっぽいな。
消費が少し多い気がするけど、ペナルティ軽減の代わりにちょっと増えるとか書いてあったからそれだろうな。
「強度とかも問題ないかな? 中は空洞だから、ちょっと叩いてみて」
「はいよ」
ぽーんと山なりにアヤメさんに放って、強度のチェックをしてもらおう。
「うん、無理だな」
短剣の柄でコンコンと数回叩いた後、強めの一発をガンッと叩きこんだけど、全然問題無さそうだ。
ペナルティ無効じゃなくて軽減だから、代わりに弱くなってるって可能性も有ったけど、大丈夫っぽいな。
「アヤメちゃん、ちょっとそれ貸してー」
「ん? はいよ」
……エリちゃん、なんでそんなバットみたいな良い感じの木の棒持ってるんだ。
「無理じゃないか?」
「多分ねー。まぁ何事も挑戦だよね」
いや、別にそれはやらなくて良いやつだと思うよ。
出来たとしてもあんまり意味は無いし。
「ほれ、これ使え」
「おー、ありがとございまーす」
ジョージさん、何出してきたのかと思ったら金属の板か。
……あぁなるほど、下に敷けって事ね。
まぁ柔らかい芝生が土台だと衝撃が分散されるだろうし、めり込むだけになるかもしれないもんね。
いや、敷いたとしてもそこまで変わらない気もするけど。
何もないよりはよっぽどマシか。
っていうか、なに面白がってるんだ。
絶対オチが解ってて煽ってるでしょ。
「よーし、行くぞー」
「止めといた方が良いと思うけどね」
「せー、のっ」
一応止めてはみたけど、スルーされた。
うん、まぁこっちも止まるとは思ってないけど。
「たぁっ! っあっ、おぉぉぅぉぅぁー……」
「言わんこっちゃない……」
思いっきり上からぶっ叩いたけど、魔力製のボールは傷一つないままで、叩いたエリちゃんの方が手の痺れに悶えてる。
まぁうん、そうなるだろうね。
っていうか今更だけど、叩く道具が木の棒じゃどっちにしろ無理なんじゃないかな。
そりゃ勢いが有ればなんとかなるかもしれないけど、折れて自分に飛んでくる危険も有るし。
……ん?
って事は、最悪こっちに飛んできて、また死ぬ可能性も有ったって事か。
無茶してるなーって顔で見てる場合じゃなかった。
折れなくても跳ね返りですっぽ抜ける可能性も有るんだから、警戒はしておかないとだったよ。
何事も無かったから良かったけどさ。
……というか、逆にあの木の棒、ちょっと凄いな。
デスペナでちょっと弱ってるとはいえ、エリちゃんのフルパワーに耐えてるし。




