1054:物を持ってみよう。
でもまぁこっちも痛覚は鈍くなってるんだし、そこまででもないかもしれないな。
……ん?
そういえば痛みは軽減されてるはずなのに足が痛いって事は、本当に思いっきり食い込んでたって事だよね。
あれ以上無理にやってたら、折れたり刺さったりしてたかもしれないな。
危ない危ない。
……しかし、相変わらず人の動きに追従するのが上手い人だな。
自分と同じくらい……ではないか。
圧倒的に私の方が重いだろうし。
いやまぁそれは置いといて、人一人の重さがくっついてるとは思えないくらい、違和感なく足が動かせる。
でもあんまり振り回しても悪いし、一応遠慮はしておくか。
逆に振り回せって言われそうだけど。
「……まぁとりあえず、物理的には弱いままだって事は解ったかな」
むにゅりと人の足に顔を埋めてるカトリーヌさんはスルーしておく。
っていうかあれ、多分息出来ないよね。
まぁ良いや。放っておくのが一番だ。
「ってか、食らい判定が段違いに巨大化してる分、むしろ弱体化してるだろ」
「まぁうん。デカくなった分、回避に使えるスペースも狭くなるしね」
普段の感覚で勢いよく飛んだりしたら、壁とか地面に激突して即死しそうだよ。
「雪ちゃん雪ちゃん、ちょっと手出してー」
「ん? 壊さないでよ?」
「解ってるよぅ。そっと置くからねー」
「何を…… って銅貨か。……縦向きはやめてね?」
一応元々持てる重さの品とはいえ、接触面積が少ないと多分刺さるし。
「離すよー」
「……うん、持てはするけどやっぱ重い。……っていうか地味な痛みがある」
乗せられた銅貨が、掌にぐーっと食い込んでくる。
「ダンベルを縦にして手に乗せてる様なもんなのかね」
「大体そんな感じかも」
やったことは無いけど、まぁ大体合ってるだろう。
重さ自体は大したことなくても、一か所に集中してるせいで割とつらい。
「それじゃ返すね」
「はーい」
「待って待って、摘ままれたら私の手まで一緒にむしられかねないから」
「あ、そっか」
なんで普通に手を出そうとしてくるんだよ。
さっきのでちゃんと懲りてくれ。
「せーの、っと」
「ほい、ありがとねー」
銅貨を乗せてる手の下に反対の手を添えて、勢いをつけてポーンと放って返す。
「銅貨をあんな扱い方してるの、見た目に凄い違和感が有るな」
「扱いに気を付けないと、縦になったら刺さりそうで怖いからなぁ」
「それもそうか」
刺さるまではいかなくても、すっごい食い込んで痛そうだし。
無駄な怪我はしたくないし、安全策が一番だろう。




