1053:押し合ってみよう。
「白雪さん」
「ん?」
とうとうふにっと抱き着いてきたと思ったら、声をかけられた。
「抵抗してみますので、押し込んだり前に蹴り出そうとしてみたりと、少し試してみていただけますか?」
「あ、うん」
押してこいっていう方が本命だろうけど、まぁ実験の形を取られたら仕方ないな。
別に足じゃなくても良いんだから、本当に仕方ないのかは置いておこう。
「んー…… ダメだ、押せない」
「んふぅ…… こちらもダメになってしまいますわ……」
「それは元からだと思う」
「やはり、同じサイズの時と同程度の力の様ですわね」
「あー、うん、っぽいね」
何事も無かったかの様に戻らないでくれないかな。
いや、ダメな流れで続行されても、それはそれで困るか。
「っていうか、あんまり押したら食い込んでちょっと痛いかも」
「まー面積当りの圧力、単純計算で百倍だろうしねー」
「あー……」
エリちゃんに言われて少し納得。
確かに、元の強度のまま十倍サイズになったならそうなるのか。
当たり方とかにもよるだろうから、一概には言えないだろうけど。
「前に動かそうとすると、余計にだなぁ……」
「私一人分の重さのサンダルを履いている様なものなのでしょうね」
うん、無理に引っ張ると足の甲にカトリーヌさんの手が食い込んできて、割と痛い。
というか数十キロのサンダルって、どんな超人の修行だよって話だな。
「では、抵抗はこれで終わっておきますわ。どうぞ、普通のサンダルと思って気にせずお歩きくださいな」
「嫌だよ。っていうか私、もともと地面は歩かないし」
「無念ですわ」
カトリーヌさんだってずっと飛んでるでしょうに。
しかも歩けって言うけどもう片方は普通に裸足だし。
……っていうか、多分実際に歩いたとしても、痛いのはこっちだけなんじゃないかな。
カトリーヌさんの方は全身に分散されてそうでもないだろうけど、こっちは硬い人形を踏んづけてる様なものだし。




