1051:一緒に大きくなるか試そう。
さて、場所も空いたし……
「そういやあんた、さっき思いっきり浴びてたけど大丈夫なのか?」
ん?
あー、そういえば【妖精】の体を突き抜けて行ったって事は、人間にとっては毒を浴びた様な物か。
「んー、特におかしな感じは無いかな。服も汚れたりしてないし」
確かに真っ赤にはなってないな。
ついさっき生き物を体当たりで爆散させた人の恰好には見えない。
「でも口に入りはしてたなぁ。うん、雪ちゃん美味しかった」
「どうかと思うよ」
妹を食べて嬉しそうにするんじゃない。
不可抗力だったけど。
「あの状態になる事で、毒性が薄まったのでしょうか?」
「あ、そうかも。なんか言われてみれば、ちょっと妙に体が暖かい気がするし」
「完全に無害ではなさそうだな」
……なんか強いお薬みたいな体だな。
必要最低限しか摂取しちゃいけませんってか。
そういえば、ソニアちゃんがお酒みたいって言ってたな。
アヤメさんがなってた状態も、基本的には酔っぱらったみたいなものだったんだろうか。
まぁそれは良いとして、だ。
「とりあえず、やってみるよー」
「はーい」
「あんたは座っとけよ」
「解ってるよぅ」
うん、流石に同じミスを二回続けはしないよね。
お姉ちゃん別に頭悪くないっていうか、むしろ私よりよっぽど優秀だし。
……普通のテンションでいてくれさえすれば、だけど。
そんじゃ、ぽわわーっとでっかくなるか。
【妖精山脈】っと。
……えーと、まずは帽子……は有るな。
ちゃんと一緒に大きくなってる。
「おー、成功だ」
「みたいだね。……でもこれ、帽子も触ったら壊れるだろうね」
私が触ってつばを曲げられるって事は、私や私の服と同じ程度の耐久力になってるって事だろう。
「この状態で壊れると、元の方はどうなるんでしょう?」
「試すのはちょっとなぁ」
うん、今貰ったばっかりな物だし、品質も普通に良い品だもんなぁ。
流石に無駄に壊すのは忍びない。
「ああ、問題無いぞ。予備は用意してある」
「なんでそんなに持ってるんですか……」
胸元から出るわ出るわ、全部で六つの帽子が机に並べられた。
いや、だからなんでそこに入れてるんだ。
ここからだと遠いし今のサイズからだと小さいから見づらいけど、全部違うデザインの帽子っぽいな。
それじゃ結局これは一つしかない気がするんだけど。
……まぁ贈り主が良いよって言ってるし、私もこだわりが有るわけじゃないし犠牲になってもらうか。
いや、壊れるとは限らないし多分大丈夫だとは思うけど。
……ん?
なんか足下に……
「いや、なにやってんの」
カトリーヌさん、なんで人の足の裏にぺたーってくっつきに来てるんだよ。
やりそうではあったけど。
「【妖精】の力なら大丈夫かと思いまして」
触っても壊れないか試してるって言いたいのか。
それならそれで、せめて言ってからじゃないとお互いに危ないだろうに。
でも今、一瞬「バレましたわ」みたいな顔したよね。
絶対咄嗟に考えた言い訳だよね。




