1050:再度試すことにしよう。
「まぁ大きくなる事以外には脆いって事くらいしか解らなかったし、もう一回試してみるかぁ」
「あ、待って待ってー」
「ん?」
ポチに背中に座られたお姉ちゃんから、なにやら待ったがかかった。
っていうかそろそろ許してあげて良いんじゃないかな。
「どうせなら、何か装備してたらどうなるかも見ておこうよ」
「見るのは良いんだけど……」
ダメだった時に破れたりしたら困るから脱いでるんだけど。
……いや、っていうかあの脆さだったし、布を破るほどの強度は無いか。
それに【神隠し】と同じ様になってるなら、いったん散ってから再構築されてるわけだし、変化に付いてこないにしてもその場に落ちるだけかもしれないな。
……そうなってるだろうって思ってるだけで実はゆっくり巨大化とかしてたら、思いっきり締め付けられて死ぬかもしれないけど。
周りからどう見えてても、見た目だけそうしてるって可能性も有るのが怖い所だな。
なんたって【妖精】だし、どんな状況でも油断しない方が良い。
……さっき思いっきり油断してたけど、まぁ教訓って事で。
「これなら、どうなろうと大丈夫ではないかな?」
「はい?」
アリア様の言葉でそっちを見てみると、何やら胸元から小さい何かを取り出してる。
「あー、確かに」
近づいて摘ままれてる物を見てみると、【妖精】サイズの白い帽子だった。
つば広のふわっとした感じで、それこそゆるふわって表現の似合う子がかぶってそうだな。
……私には似合わない気がするけど、まぁそこは仕方ないな。
帽子なら乗せる程度にかぶっておけば、締め付けられたりすることも無いだろう。
……いや、流石にしっかり深くかぶってても、するっと抜けはするだろうけどさ。
「それじゃ、少し借りますね」
「ん?」
……いや、何その疑問符。
使えって言ったのはアリア様だろうに。
「これは白雪の物だぞ」
「いや、知らないところでいつの間にか所持品を増やされても、こっちも反応に困るんですけど……」
どう考えても貰ってた物の中には無かっただろうに。
せめて譲るとか言ってから私の物って事にしてほしいんだけど。
「気にするな」
「まぁ、はい」
うん、諦めるけどさ。
どうせ抵抗しても、遠慮するなとか言って納品されるだけだし。
「じゃ、失礼します」
人差し指に乗せられた帽子を手に取って、頭にぽふっと乗せてみる。
……いや、うん、ちょっとぬくいな。
もうちょっと入れる場所が有ったって言うか、コレットさんの収納に入れておけば良かっただろうに。
まぁ、別に困るわけじゃないから良いけどさ。
「さて。あと試しておいた方が良い事って、何か有りますかね?」
「んー、まぁ大きくなってからじゃないか?」
「うむ」
「はーい。それじゃ…… お姉ちゃん、そこどいてー」
そこに寝られてたら踏んづけちゃうぞ。
いや、踏んでも怪我するのは私の方だろうけどさ。
まぁ動こうにも、背中にポチがのすっと座ってるんだけど。
「うぅ、体にダメージは無いけど心が痛い」
「みんなもそろそろ許してあげてねー」
はーい、と解散していく召喚獣たち。
……ポチが背中から降りた時、ちょっと残念そうだったな。
まぁうん、気持ちはちょっと解るけどさ。
流石にずっと居られると重いでしょ。
あとラキ、数歩ごとに振り返って威嚇するのをやめてあげようね。
ちゃんと反省してるから。




