1046:変な方から見てみよう。
どうしよう、出だしから思った以上に変そうだった。
無かった事にしたいけど、もう口に出しちゃったからなぁ……
「諦めな」
「気持ちを見透かさないでよ」
ええい、肩をポンッてするんじゃない。
「とはいえ、確かめてみない事には先に進まないというのも事実ですわ」
「そうなんだけどねぇ……」
なんていうか、解ってた事だけど新しいのもダメそうなんだもん。
いや、今までも本当にダメなだけの魔法は無かったし、これも変な魔法だとしても使い様なんだろうけどさ。
あ、いや、【流星】と【自爆】は除外だな。うん。
あれはダメだ。特に【自爆】。
しかし【流星】、今やったら流れ星が見えたりするんだろうか。
……いや、でもなんかごく稀に大当たりとか言って本当に隕石が降ってきそうで怖いな。
触らないでおこう。
「ま、とりあえずパッと見で変な方から行ってみようよ」
「アヤメさん、笑いたいだけじゃない?」
「否定はしない」
くそぅ、他人事だからってずるいぞ。
やるしかないんだけどさ。
お姉ちゃん達とアリア様はにこにこと見守る構えらしく、へーって顔するだけで何も言ってこないし。
まぁ変にからかわれるより良いけどさ。
……っていうかアヤメさん、全然大人しくしてないぞ。
いや、まぁ一人で黙々と披露するよりやりやすいから、助かるんだけどさ。
「しかし本当になんなのこれ。ゆるふわとか私の対極にある概念でしょ」
「んー…… まぁ【妖精】として振舞ってる限りはそうでもないんじゃないか」
「あー」
アヤメさん、チラッとぴーちゃんの方を見たのは、現実での私を想像したんだろうな。
うん、本当は私もあのレベルの目つきだからね。
少なくとも、見た目に「ゆるさ」なんて要素は存在しないと思うよ。
「諦めて開いてみるかぁ」
「やらなきゃ終わらないからな」
そんな面倒なお仕事みたいに言われても。
まぁやるしかないのは事実だけどさ。
よし、覚悟を決めて詳細を開いてみよう。
ぽちっとな。
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【妖精山脈】 消費MP:300
自らの肉体を構成する魔力に手を加え、再構築する事によって仮初めの巨体を獲得する。
発動中は一般魔法の行使におけるペナルティが軽減されるが、代わりにMP等の消費量が僅かに増加する。
発動に消費したMPは、効果を解除するまでは維持コストとなり回復が不可能となる。
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んー……
「えーと? ……要するにこれ、デカくなる魔法なのか?」
「みたいだね。名前も何となくそれっぽいし」
「あぁ、大昔のプロレスラーみたいだもんな」
「いや、そっちじゃなくて」
読みの方だよ。
流石にああいう人達の中でそう呼ばれるほどにはデカくないぞ、私。
あ、これ用意されてる魔法の名前だから、別に私の特徴は関係無いか。
「しかし、あんたの魔力でペナルティ軽減って、結構ヤバいんじゃないのか?」
「いや、軽減されなくても元々ヤバいとは思うけどね」
小さくて射程が短いだけで、威力は十分に有るし。
まぁ射程外から倒しやすいんだし、そこまででもないか。
「その辺どうなんでしょ」
「どうせ落とし穴があんだろ?」
一応ジョージさんに確認してみたら、バッサリ切り捨てられた。
うん、まぁそれは私も解ってる。
「あとそんなもん無くても、お前は元々警戒対象だからな?」
「はい」
うん、仕方ないよね。
【妖精】なんてどう考えてもトップクラスの危険物だし。
むしろこっそり見張るだけで、自由に動く事が許されてるんだからかなり緩いよね。




