1020:褒美を与えよう。
「でもさっきの感じだと、今は従う人に雪ちゃんも入ってるんじゃないですか?」
「そうだな。と言うよりは【妖精】に、だろうな」
あ、カトリーヌさんも対象なんだ。
変に特別扱いされてなくて良かった……のか?
いや、現状では二人しか居ないって時点で、十分に特別だろうけどさ。
居ないのか出て来てないだけなのかは判らないけど、まぁそこはどうでも良いか。
「ふむ。そろそろ良かろう」
こっちが話している間ずっと座らされていたお兄さんを見て、アリア様が隠密さんに声をかけた。
おお、解りやすいな。
声が聞こえた瞬間からしっぽのパタパタが再開したぞ。
っていうかお姉さん、ずっと無言だったけど意味有ったんだろうか。
ダメですよみたいなプレッシャーだけ与えられても、お兄さんもちょっと困ると思うんだけど。
一歩近づいて手を伸ばし、お兄さんの両肩を掴んで軽々と持ち上げる。
軽装とはいえ成人男性一人、そんな発砲スチロールみたいな重量じゃないだろうに。
あ、お尻とか丁寧に払ってあげてる。
立たせ方は凄く雑だった割に、その後は優しいんだな。
アリア様に頭を下げてから、こっちに軽く手を振って帰っていくお兄さん。
とりあえず振り返したけど、結局何しに来たんだあの人は。
む?
一仕事終えた隠密さんが、てててっと小走りでこっちに……というかアリア様の方に寄ってきた。
「うむ、来るが良い」
あぁ、褒めて褒めてーって事か。
アリア様の近くまで来て膝をついて、頭を撫でやすい位置に差し出してる。
……普通にしてたら、落ち着いた雰囲気の綺麗なお姉さんなのになぁ。
なんでこう、NPCの美人さん達は一癖も二癖も有るんだろうか。
いや、プレイヤーにもそういう人は居るけどさ。
「なんと言いますかジョージさんの所って、どこかしら濃い人ばっかりじゃないですか?」
「お前が言うな」
「いや、それはそうなんですけど」
うん、他人の事は言えないんだけどさ。
色物って点では【妖精】に並ぶ人は居ないだろうし。
「っつーか、大半はまともだからな?」
「あ、やっぱり流石に?」
「当たり前だろうが」
そうなんだろうけど、出てくる人が皆して妙な特徴が有るからさ。
あ、ランディさんはまともだったか。
……あー、妙な人だからこそ出てくるんであって、まともな隠密さんはきっちり隠密してるからか。
たまーにチラっと出て来て、会釈して消えていく人も居るしね。
「今も周りで『あれらと一緒にせんでくれ』って顔してるぞ」
「……あー、ごめんなさい」
目の前のお姉さんには失礼かもしれないけど、謝らざるを得ない。
でも出てこない「まともな」人達もガチガチな感じじゃなくて、結構お茶目というかゆるめな所が有るっぽいんだよね。
サフィさんのおやつがこっそり持って行かれてたり、ぶら下げたサフィさんのほっぺたをムニムニいじくりまわしてたり。
……いや、これサフィさんがそういう扱いってだけか?




