1011:手間を先取りしておこう。
「さーて、それじゃそろそろ行こうかな」
「そうだねー」
おっと、行っちゃうなら手くらい振っておいた方が良いかな。
シャルロットさんと話してはいたけど、元々私に声をかけてきたんだしね。
「ほんじゃまたねー」
「はい、それでは」
「あっと、そうそう」
「あぇ?」
元気な方のお姉さんがばいばーいとシャルロットさんに手を振った直後、静かな方のお姉さんからストップがかかった。
ついさっき「そうだねー」って言ってたのに、何か思い出したんだろうか。
「今聞いた事、ざっと妖精さんスレに書いちゃって良いかな?」
「あ、はい。私は大丈夫ですよ」
……なんで『私の』スレッドに?
あ、私と居るからか。
「『あー』って顔してるから解ってると思うけど」
むぅ、見られてた。
「とりあえず簡単にでも書いておけば、次の人から『スレ見て』の一言で済ませられるからね」
うん、どうせ聞かれるっていうか、話しかけてきたら目には入るだろうし、ちょっと特徴的過ぎて気になるだろうしね。
一組二組ならともかく、次から次へと来られたら流石にうんざりしそうだよ。
「会う人全員に説明してたら大変だもんね。えらいぞなっちゃん」
「えっへん」
なっちゃんと呼ばれたお姉さんが、胸を張りながら器用にタイピングしていく。
手元見なくて大丈夫?
……あ、間違えたっぽい。
絶対今の動き、入力ミスして消しまくってたでしょ。
おや、手が止まった。
「北西の方に住むって事も書いちゃって良いかな?」
「あ、はい。どうせ元の大きさで立っていれば、どこからでも一目瞭然ですから」
「そういえばそうだった」
うん、まぁ書く必要が有るのかはともかく、隠す意味も無さそうだよね。
隠れられる様なサイズでもないし。
……それに私なんて、アリア様に堂々と住所を公開されてる様なものだしね。
別段私に興味が無い人でも知ってそうなレベルだよ。




