1008:知り合いだと気付こう。
「おやー?」
ん?
あ、シャルロットさんを見てるのかな。
視線が下向きだし。
「新しい子かなっ?」
「あ、待って待って」
近づこうとした元気な方のお姉さんを、お姉ちゃんが慌てて阻止した……っぽい。
見てないけど多分そう。
しかし、やっぱり声が大きいな。
無駄に騒いでるわけじゃなくて、デフォルトであの声の大きさなのかな?
張りが有るって言うか、良く通る感じの声なのも余計に大きく聞こえる原因になってそうだ。
「んぬ? どしたの?」
「その子…… っていうかその人、雪ちゃんの召喚獣とかじゃなくてプレイヤーの人だから」
「んぇ?」
「ほんとに?」
どう見ても人類じゃないよねって感じの声だな。
それを言ったら私とかめーちゃんとかもなんだけどね。
「ほんとほんと。いろいろ有ってああなってる……ってのは置いといて」
「いろいろがめっちゃ気になる」
「置いといて」
「はい」
押し通したな。
まぁ全部説明すると長いもんね。
「人体実験」の一言で済みそうな気もするけど。
「今は雪ちゃんの魔法で小さくなってるんだけど、小さくなるのに慣れてないからあんまり近寄り過ぎないであげてね」
「あー、了解了解ー。危ないもんねー」
「という事は、あんまり大きい声も出さない方が良いのかな?」
「あ、そだねー。ごめんごめん」
お、素直に普通程度に音量を下げてくれた。
本当に迷惑になりそうなら、ちゃんと配慮出来る人なんだな。
「失礼っ、しますっ」
「あいよー」
あ、シャルロットさんが台車に飛び乗った。
「っと。どうも、お久しぶりです」
おや?
シャルロットさん、この人たちと知り合いなのか。
「んー?」
「あ、シャルロットさんだったんだ」
ゆっくりと台車に少し近づいた事で、顔の判別ができる程度には見えたらしい。
まぁ二センチ程度の顔なんて、普通は離れてたらよく見えないもんね。
しかも小さいだけじゃなくて、居るのが足下だから角度の問題も有るし。
今は足下に注意しなくて良いから、相手の顔を見上げてるけどね。
「んぇ? あ、ほんとだー。やほー」
「はい。やほー、です」
律儀に同じ様に返事をして、同じ様に手を振り返してる。
「そっかそっかー、お馬さん探してたもんねー」
「はい。まさかこうなるとは思ってはいませんでしたが」
普通は思わないと思うよ。
特にそのバランスには。
っていうか二人とも、あの見た目にノーコメントなんだな。
「まぁ良かったんじゃない? ほら、昔の武道家もそんな感じで言ってたし」
「何と?」
「『熊に勝てないんだったら自分が熊になっちゃえば良いじゃん』って」
「なるほど……」
いや、言いたい事はなんとなく解るんだけど、いろいろと間違ってると思うんだ。
多分その言った人も『いやいやいや』って顔してるよ。
シャルロットさんはなんか納得してるけどさ。
「む?」
「あー、熊の所をドラゴンとか吸血鬼とかに置き換えてくれれば」
「あぁ、なるほど」
アリア様が「普通に勝てるだろう?」みたいな反応をしてたので、極端な例で説明しておこう。
ぺちってやるだけで良い【妖精】は除外だ。
そりゃこっちの人達っていうか、ゲームの中でなら倒せる人もいっぱい居るだろうね。
この場にも、平然と素手で殴り倒しそうな人が二人ほど歩いてるし。




