表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
森のエルフは過保護さん  作者: rurura
エルフの里 《黒の森編》
73/80

第73話 エルフの里


「すごい! すごいのです~!! ララ、ララ、こんなに大きな木なんて初めて見たのです」


 あれから暫く休んで、その後も二度と酔わない様にとゆっくりゆっくりと慎重に歩んでやっとの事で結界を抜けられたのですが、その時にはすでに昼もだいぶ過ぎた時間になってしまいました。


 ですが、そんな苦労をしたかいがある程の絶景がサハラさんを待っていたのでした。



「そうでしょう、この光景を見せたかったのよ。 実現出来て良かったわ」


 サハラさんの感嘆の声にララは自慢げに、だけど嫌み無く楽しげに世界樹とエルフの里を手で指し示して笑うのでした。


「ほんとのほんとにすごいのです! 見上げても木の先が見えないし、なんか窓とか廊下とか……なんか分かんないけど色々付いてるのです!」


 それは本当に不思議な光景です。

 結界を抜けたサハラさんにまず目に入ったのは天高くまで(そび)える大きな世界樹でした。


 世界樹は凄く大きくてそして何よりも広く頭上を覆っています。

 ですがそれよりも不思議な事に空が殆ど見えない程にその緑の葉を鬱蒼(うっそう)と生い茂らせているのにもかかわらず、薄暗さなんて全く感じない程にエルフの里は日の光としか思えない柔らかく自然な明かりで照らされていて爽やかな空間を保っているのでした。


 さらに世界樹には地表部分には石造りの建物がくっついて建てられているのですが、なんとその建物から木の中まで廊下や階段が続いているのが見えるのでした。


 しかもそこからかなりの高さまで窓や廊下が続いている様ですし、所々にテラスみたいな物もあって凄くファンタジー感満載な見た目だったのです。

 


「ようこそ、黒の森の里へ。 ここが私やララエルの生まれ故郷、そしてすべてのエルフ族にとって中心の場所、聖地と言っても良い所よ」


 ルミ姉さんが世界樹を背景にくるんと振り向いて両手を広げてサハラさんを歓迎してくれます。


 そんなルミ姉さんにサハラさんは(両手広げてる=おいでって言ってる。 行くのです!)と、何故か思っちゃったので近寄って抱きついちゃいます。


 そのサハラさんの行動にルミ姉さんは――――


(ななな、なになに!? 何でサハラは抱きついてきたの? 可愛いけれど……こ、こういう時ってどうすれば良いの!?)


――――と、固まってしまいました。


ですが、固まっちゃったルミ姉さんに(やっぱ違った気がします)とすぐに離れて、今の勘違いを無かった事にする為に慌てて話題を振りました。


「ね、ねえ、エルフさんの里なのに家とか建物って石で地面に作ってあるのが多いんだけど……何でなのです? 不思議な感じです」


 と、そう言いますが、そうなのです。

 サハラさん的にはエルフと言えば木の上とか横とかに木造の家がくっついててそこに住んでるイメージだったのです。

 でもこの里のエルフは建物の意匠こそ違うものの、ほぼ人族の町と同じ様に石やレンガとかをたくさん使って地面に建ててありました。



 でもサハラさんの固定観念的なイメージからくる素朴な感想にルミ姉さんもララも意味が分らず首を傾げて考え込んでしまいます。


(ん、サハラは何を不思議に思っているのかしら?)とルミ姉さん。

(石で地面の上……普通よね?)とララ。


 二人はたっぷり数秒程考えたけれど、やっぱり分らなかったのでルミ姉さんが代表で聞いてみる事にしました。


「んー、どう言う事かしら?」


 しかしその質問に事も無げに言ったサハラさんの答えは二人を驚かせるのに充分過ぎる程に予想外な事なのでした。


「だってエルフさんって普通は木の上に家立てて住んでるんだよね?」


「「なんで!?」」


『お、お姉さま! サハラが! サハラがエルフ族に良く分らない期待をしてます!』


『え、ええ、ララエル、貴方サハラにいったいエルフをなんて言って説明したのよ!? 木の上に家を建てる? そんな所に建てたら危ないじゃない! そもそも材料を木の上に持ち上げる労力だけでも普通の家が一軒建っちゃいそうだわ……』


 謎めいたサハラさんの思い込みに二人は慌ててエルフのイメージを正そうと説明します。


「サハラ、エルフ、木の上、住まない」


 ですがララエルさんは焦って説明しようとしたおかげでサハラさんと初めて会話した時の様に何故か片言になってしまいました。

 そんな頼れない妹に若干の呆れを感じてルミ姉さんが代わりに説明する事にします。


「……ララエル、何故片言なのよ。 まぁそれは良いけれど、サハラ、何処で聞いた知識か知らないけれど、エルフだって普通に地面に家を建てるのよ」


「え~、そうなんだ……」


「そうよ。 だって木の上に家立てる意味が無いもの。 地面に建てた方が楽だし便利でしょう?」


「そうかもです。 でもそっか~、木の上に家無いんだね……」


 ルミ姉さんの説明でサハラさんは一応納得してくれたのですけれど、何だかすっごくテンションが下がっちゃったのでララもルミ姉さんも心配します。


『どうしましょうお姉さま! サハラのテンションが下がっちゃったわ』


『落ち着きなさいララエル。 それにしてもそうね、そんなにエルフが木の上に住んでない事がショックだなんてね。 うーん……あ、そうだわ。 確かブナ氏族が木の上に住んでるって聞いた事があるわ!』


『なんでまたそんな不便な場所に住んでるのですか?』


『うろ覚えだけれど、確か魔物との縄張り争いに負けたから地面から追い出されたとか言ってた気がするわね』


『情けない、それでもエルフなのかしら。 まあでも今回はそんな情けなさに救われましたね! さっそくサハラに教えて上げましょう』


『ええ、そうね』


 何とか解決策が見つかったのでルミ姉さんは笑顔でサハラさんへ話してあげる事にします。


「サハラ、そんなに落ち込まないで。 サハラが言ってた通りの生活をしてる氏族が居るのを思い出したわ」


「ええ! ほんとなのです? 見てみたいのです~」

(やっぱり居たのです! エルフさんは木の上に住んでるものですよね♪)


「ええ、今度行ってみましょうね」


「やった~」


 ルミ姉さんの頑張りのおかげで何とかサハラさんのテンションも戻ったのでララも一安心です。

 でも、またしても、と言いますか、ルミ姉さん的には初めてではありますがサハラさんをブナ氏族の里まで連れて行くと安請け合いしちゃったのですけど、ブナ氏族の森は遠いですし魔物も強いので今から頭の痛い問題を抱えてしまいました。



 それから暫くサハラさんに里の中を案内してあげていたのですけれどリンディアさんがそろそろ良いだろうと言う事でララに話掛けます。


「ところでララエルよ。 里の案内も良いが、お前の第一の親が待ち侘びているはずだ、会いに行ってやりなさい」

〈第一の親とは、生みの親の事です。 基本的にエルフ族は里ごと全部で一つの家族と考えるのです。 年齢が離れて居れば親、近ければ兄弟姉妹、なので親も一杯居るので区別する為に生みの親だけは特別な呼び方をします。 第一と言う言い方以外にも色々あります〉



「お父様とお母様が? 何か用なのかしら……わかったわ。 どのみちサハラを紹介するつもりだったし行ってみるわ」


 両親が自分の事を心配して居るとは欠片も思わず、ララは“じゃあ行こっか、あっちよ”とサハラさんの手を取り実家に向かって歩き出すのでした。


「それじゃあ私も一緒に――」


「まてメルミア、我々はまず帰還の報告だ。 ……それに、久方ぶりの親子の再会なのだ、水を差すのは野暮だろうさ」


 ララ達について行こうとしたルミ姉さんですが、リンディアさんが待ったを掛けます。

 正直に言えばエルフ族は時間にかなりルーズなので報告なんて後でも良いのですが、ララの生みの親に親子水入らずで会わせてあげたかったのです。


「……そうね、そうかも。 分ったわ、なら報告にいきましょう」


 ルミ姉さんもリンディアさんの言葉に一理あるなぁと思って頷きました。

 でもふとララの取った行動を思いだして気が付くのでした。


(あ、ララエルってばサハラを連れて行ってるわ。 結局私が行かなくても親子水入らずにはならなかったわね)


 まあ、サハラはララエルが育ててる様なものだし、まあ良いかと思い直してルミ姉さんはリンディアさんと連れ立って報告に向かうのでした。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

人物紹介とか書きました!

人物紹介&設定

良ければこちらもお願いします♪

ラミアの道具屋さん

高慢(に見える)公爵令嬢と有能(に見える)メイドさん
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ