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森のエルフは過保護さん  作者: rurura
森の村 《神官潰し編》
43/80

第43話 ララとコトさん





 一方その頃のララとコトさんペアはと言うと――





「なんで私が貴方なんかと……」



 サハラさんと別れてからというもの、ララは数分おきにそう呟いては溜息をはきます。


 そんなララの態度でも、最初こそコトさんは気にしない事にしていました。

 ですけど、延々と悪態をつかれ続けたらさすがに気が滅入ってきます。


 段々と精神的疲労が蓄積されて来ちゃってる事ですし、コトさんは何とか雰囲気を変えて現状を打開しようかと話しかけて見る事にしました。



「ちょっとちょっとララさーん、もうちょっと楽しくいきましょうよー」


 確かに少しだまし討ち的に強引な勧誘をしたけれど、コトさんとしてもこうも嫌われるのは計算外の事で少し困っていたりします。


〈実はコトさんが特別嫌われてると言う訳じゃ無くて、たんにララは若い森のエルフ特有の高飛車な性格なだけだったりするのですけどね〉



 ララからの返事が貰えなかったのですが、コトさんはめげずに続けて話しかけてみます。



「えーと、この村ってのどかで良いですよね。 のろい騒ぎが収まったら今度は遊びに来るのも良さそうですよね」





「…………」






「うーんと、そうだ。 たまにはララさんもサッちゃんから離れて気分転換するのも気晴らしになって良いんじゃないかなー……なんて?」




 コトさんはニッコリ笑顔で角が立たない様に気をつけて色々な話題を振ってみたつもりだったのですけど――




「貴方は何を言っているのですか? 気分転換しなければならない意味が分りません。 サハラと居ると気晴らしが必要なると貴方は言ったのですか? 今度そんな馬鹿な事を言ったら怒りますよ! それと私の名前はララエルです。 ララとエルには別々の意味があり、二つ合わさる事でさらに意味が変わります。 ララだけではまったく違う意味になってしまうので二度とそう呼ばないで下さい」



 しかも最後に『ふんっ』と鼻をならすおまけ付きです。




「ご、ごめん」

(えーーーーー!? だってサっちゃんはララって呼んでるじゃん! 不公平だー)



 実はコトさんはリディさんが二人の仲が悪いのを憂慮してこの組み分けにしたんだなと何となく察しているので、それとなく仲良くなろうと行動していたのです。

 ですけど明らかに不機嫌なうえに敵対的態度を取られてしまい、完全に出鼻を挫かれてしまいました。


〈リディさん、ララは全然大人では無かった模様です!〉






◆◇◆◇◆






 それから暫くの間、二人の間には依頼に関わる事以外の会話はまったく起こりませんでした。


 淡々と働いて、連絡事項だけ伝え合い、また次の場所に無言で移動です。

 そして時折ララが深い溜息を吐く……と。



 そんなこんなで七軒目まで調査し終えたところでついにコトさんの堪忍袋の緒が切れました!



「さっきから何なんですか! 言いたい事があるならハッキリ言って下さいよ! そんなずっとイライラされてたらこっちまでイライラして来ちゃいますよー」



 我慢の限界を超えてしまったコトさんがビシっとララを指さして怒ります。


 でもそんなコトさんの怒声に怯むどころかララも負けじと言い返します。



「仕方無いじゃない! だって貴方も見たでしょう? サハラと手を繋いでたのよ!」



 イライラだってするわよ! とララも胸の前で腕を組んで怒り出すのですが――



「…………え? 何の事です?」


 てっきりコトさんは強引な勧誘に対しての文句が来る物とばかり思って居たのですけど全く予想外の返しでキョトンとしてしまいました。



「忘れたの!? さっき別れ際にリディアーヌがサハラの手を取ってたじゃない!」


 ララは長い耳をピーンと斜め上に立てて怒ります。




「あー、確かに繋いでたね。 あれにはあたしもびっくりだったなー」


 言われて思い返してたしかに別れ際にリディがサハラさんの手を取っていたなと思い出します。



「だから早く調査終わらせて迎えに行かなきゃ! リディアーヌが優しくて可愛いサハラに(よこしま)な考えを起して襲いかかる前に!」



「無いから! 大丈夫だから! むしろサっちゃんの方が頼りがいがあってしかも美人なリディに目が眩んで道を踏み外さないか心配なくらいだよ!」



 コトさんもリディの事にかんしては聞き捨てならなかったので反論します。

 ララがサハラさんを大切に思うのと同じ()に……では無いですが、同じ()に大切に思っているのです。



「それこそ無いわよ! 私のサハラがそんな事に成る訳無いじゃ無い!」


「リディだって大丈夫よ!」



 言い争う勢いそのままに、二人は視線で人が殺せたら殺人を犯してしまったであろう程の目線でにらみ合います。



 たまたま通りかかった猟師が今まで感じた事の無い程の身の危険を察知して、自身の鍛え上げた狩猟の技を最大限に活用して気配を殺し、二人から逃げた程に彼女達は殺気を放っているのでした。



「…………やめましょう。 不毛だよ」



 どれ程にらみ合った事でしょうか、数分にも数十分にも思えましたがついにコトさんが均衡を破りました。



「そうね。 こんな所で睨み合ってるよりも手早く調査を終わらせてサハラ達に合流した方が良いわね」



「それが良いですねー。 じゃあパパッと終わらせちゃいましょーぅ!」



 結局の所、二人は仲良く成るどころかむしろケンカしただけ悪化した気もしますが、『急いで終わらせて合流する』と言う共通目標が出来たので一時的に協力して作業する事にします。




 こうしてリディの狙いとは全く違う結果になってしまったのでした。




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