『汚染』された安息――永遠なる午睡の都(エターナル・シエスタ)
圧倒的な蹂躙が終わり、砂塵が晴れた。
同時に、リリアーヌの持つ物語の中へと、三人の英雄たちは還っていく
本来ならば、砂漠の深淵へと道が続くはずだが、、、、、不自然なほど瑞々しい緑と、美しいオアシスの町が姿を現していた。
「……はぁ? 何よこれ。さっきまで死ぬほど暑かったじゃない」
精霊セリナが姿を現し、困惑して周囲を見渡す。
「花も木も……全部、本物に見える。でも、『根源』がどこにあるのか感じ取れないわ」
「カイル、油断するな。……どこか嘘臭ぇ」
ヴィンセントが鼻を鳴らし、剣の柄に手をかけたまま、一歩も動かない。
「死地を抜けた後に現れる都合のいいオアシスなんて、三流の博打打ちでも疑うぞ」
カイルは鋭い視線で町を凝視し、隣に立つリリアーヌの気配を伺う。
「……リリアーヌ。生き物の気配が『正しくない』。住民たちの笑い声も、水のせせらぎも、決まった音を繰り返しているだけだ」
その時、控えていた魔神ザフィエルが、地鳴りのような声を上げた。
『……主よ』
ザフィエルは空間の「隙間」――空の色が不自然に反転している箇所を指し示し、断定した。
『……我らは今、名も無き者が書き残した短編『永遠なる午睡の都 』という箱庭に閉じ込められたのでございます』
言葉を聞いた瞬間、万年筆を軽く回し、冷ややかな視線でオアシスを切り捨てた。
「……なるほど。管理責任者は、すでに敵のプロットに汚染されていますわね」
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無双の爽快感に浸る間もなく現れた、あまりにも美しすぎるオアシスの町。
ですが、五感の鋭いカイルたちや、世界の理を見通すザフィエルは、異質さを即座に感じ取ったようです。
次回も、どうぞお楽しみに!




