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父親は、あなたでしょう?
現世との境界、物語の栞が織りなす秘密の出入り口。
魔神を屈服させ、『アラビアン・ナイト』を書き換えたリチャードが、異世界物語『アンフィニッシュ・ストーリー』から出ようとした瞬間、出口となる白光の手前に、一人の女性が佇んでいた。
「あら、先生。……ずいぶんと派手にお遊びになりましたわね?」
聖域でティーカップを傾けていたはずのエレオノーラが、そこにいた。
リチャードは足を止め、優雅に、しかし警戒を込めて一礼する。
「……エレオノーラ。このような場所でお会いするとは」
「うふふ、つれないわね……。貴方がどれほどリリアーヌとカイルを守っても、呪縛だけは校閲られないわよ?」
エレオノーラが、楽しげに、だが残酷に目を細める。
「……リリアーヌの本当の父親が……あなただということ……」
リチャードの瞳が、大きく揺れた。
「先生……いえ、リチャード。この世界を捨てるから、私をあなたの元に連れていって!」
なりふり構わぬ、一人の女としての絶叫。
瞳には、聖域で見せた優雅な母の面影など微塵もなかった。
第089話をお読みいただき、ありがとうございます!
……お母様、本気でした。
「先生」と呼んでいた執事に縋り付き、全てを捨てて迫る女の顔。
次回も、どうぞお楽しみに!




