表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
74/87

私があなたを「正解」にする

 圧倒的な神力・・を放つシルヴァーナの前に、三つの影が重なった。

 リリアーヌ、カイル、そしてアストレイド公爵。彼らは一歩も引かず、背後にいるセリナをかばうように立ちふさがる。


 リリアーヌが、のどを震わせて叫んだ。瞳には、運命という名の誤字を許さない、校閲者としての強い光が宿っている。


「勝手なことを言わないでくださる? 精霊セリナは、誰かの代わりに生きているわけではないですわ! たとえ世界中の誰が否定しても、私が、ここにいるセリナの存在を『正解』だと証明してみせます!」




 沈黙が降りた。

 次の瞬間、シルヴァーナの肩が震え、彼女はこらえきれずに噴き出した。


「ふふ……っ、あははは! 面白い子。ただ『帰ろう』と言っただけなのに、どういうことなのかしら? 」


 シルヴァーナの視線が、リリアーヌからその隣に並ぶ者たちへと移る。冷徹な威圧感にさらされながらも、カイルが静かに、だが確固たる意志を込めて口を開いた。


「……リリアーヌの真っ直ぐな想いが、俺たちの歩むべき道を照らしてくれている。彼女が守ると決めたものを、俺が否定することはない」


 アストレイド公爵も、重厚な声を響かせる。


「侯爵としての面子など、この場には不要だ。私は一人の男として、彼女たちの未来を守ると決めた。シルヴァーナとやら、強引な連行はさせん」


 その様子を、遥か上空から静かに見守る視線があった。

 サクラは、雲の合間からやり取りをのぞき込み、小さく、けれど温かく呟く。


「……僕も同じだよ、リリアーヌ。自分の居場所は、誰かに決められるものじゃないって……信じたいな」


 シルヴァーナの瞳が、ふと微かに潤んだ。遠い日の記憶に触れたような、どこか寂しげな表情。




【※注釈:……悲しみを知る者】




「私の負けね……いい仲間に恵まれて良かったわね、セリナ。ロウィンの魂の欠片も……今はあなたに預けておくわ」


 シルヴァーナはふっと力を抜くと、一陣の風に髪をなびかせて告げた。


「気が変わらないうちに、セリナをしっかり守りなさい、リリアーヌ」


 張り詰めていた空気が、わずかに緩む。

 背後で守られていたセリナが、震える声で、けれどはっきりと答えた。


「……ありがとう、シルヴァーナ」


 その感謝は、かつての親友としてか、それとも――。

 第074話をご覧いただきありがとうございます。


 「セリナを『正解』だと証明してみせます!」


 運命という巨大な原稿を前に、リリアーヌが放った宣戦布告。

 誰かに決められた配役ではなく、今ここにいる意志を信じようとする彼女の叫びが、最強のイレギュラー・シルヴァーナをも動かしました。


 シルヴァーナが去り際、セリナに託した「その子を守りなさい」という言葉。

 まだ「正解」だと決まったわけではないけれど、そうあろうとするリリアーヌを、今度はセリナがどう支えていくのか。


 「面白い!」「続きが気になる!」と思ってくださった方は、ぜひブックマークや評価での応援をよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
手の掛かる子が巣立つみたいですね♪ 良い人達に出会えた、託せる人たちに出会えたことに喜ばしいけど、ちょっぴりさみしいでしょう。……良い人達がいるから大丈夫ですよ。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ