【校閲】三流の配役は、お黙りなさいませ
「今から、真の『王妃』……いえ、『校閲者』の在り方というものを、皆様方の魂に直接書き込んで差し上げます!」
宣言と共に、私は迷いなく階段を登る。
視線の先、玉座には、すでに呪縛から解き放たれたカイル様。
その時、選定を待つ四人の王妃候補たちが、左右の「控えの間」から駆け出してきた。
カイル様の周囲を汚していた「ノイズ」。
着飾っているだけで、自らの意志を持たぬ操り人形たち。彼女たちは、侮蔑の眼差しで、私を射抜いている。
「止まりなさい! 身の程知らずな娘が! 穢れた分際で、陛下の聖域を汚すおつもりですの!?」
「衛兵、何をしています! この無礼者を今すぐ引きずり下ろして!」
甲高い声を張り上げる彼女たち。だが、私は最後の一段を踏みしめ、彼女たちの間を割って真っ直ぐにカイル様の前へと進み出た。
香水の匂いと醜い嫉妬。……推敲する価値もない、ただの誤字脱字ですわね。
「……リリアーヌ」
玉座のカイル様が、名を呼んだ。
私は、カイル様が差し伸べた手に、迷わず自分の温かな手を重ねる。
「お待たせいたしました、カイル様。……長く、不快な夢は、今この瞬間に完結いたしましたわ」
指先が触れた瞬間、カイル様の瞳に宿る冷たい静寂が、烈火のような覇気へと変貌した。
彼は私の手を力強く握り返すと、威風堂々と立ち上がる。
騒ぎ立てていた候補者たちが、カイル様から放たれた「王の魔圧」に当てられ、悲鳴を上げてへたり込んだ。
「――喧しい」
カイル様の低く、冷徹な声がホールを震わせる。
彼は腰の細剣を抜き放ち、床に這いつくばった候補者たちを一瞥だにせず、上方の貴賓席で凍りついている四大侯爵たちを剣先で指し示した。
「三流の書き手が用意した『役職』など、今の俺には紙屑にも等しい」
カイル様は私を抱き寄せると、会場に揃ったすべての「三流の書き手」たちに、最後の通告を突きつけた。
「道を開けろ。これより先は、我ら二人の物語だ」
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございます!
これまでの沈黙が嘘のように、カイル様が本来の覇気を取り戻しました。
打って変わった豹変ぶり……。
彼を縛っていたものが単なる「魔法」だけではなかったことが、言葉の端々から伝わっていれば幸いです。
次回も、どうぞお楽しみに!




