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真の王カイル・ヴァン・レガリアの即位――この物語に君という光が差し込んで

 「――さあ、覚悟はよろしいかしら?」


 リリアーヌが黄金の万年筆を天に掲げ、一閃させた。その瞬間、万年筆の先からあふれ出した黄金のインクが、物理的な衝撃波となって広場を駆け抜ける。


 「な、なんだ、この光は……!?」


 暴徒たちの悲鳴が上がる。光に触れた空間から、世界の質感が変質していく。舞い上がる砂埃すなぼこり墨溜(すみだ)まりのように空中で静止した。


 これこそが、リリアーヌの真骨頂しんこっちょう――『一括置換ワールド・オーバーライト』。  


 「ふざけるなッ! 女一人に何ができる!」


 強硬派のリーダーが、略奪の欲望に目を濁らせ、リリアーヌへと斬りかかった。だが、リリアーヌはまゆひとつ動かさない。彼女が空中に「取消線」を引くように指を動かすと、リーダーが振り上げた鋼鉄の剣は、光の中でひしゃげた『折れた筆』へと置換された。


 「あら、そんな無骨な得物で、わたくしの校閲を拒めるとお思い? ――その設定よくぼう、まるごと削除いたしますわ」


 その瞬間、広場にいたすべての暴徒の頭上に、新たな『※注釈』が黄金に輝く。



【※属性置換実行:『民衆の代表』を削除。対象の属性を一括して『私欲にまみれた火事場泥棒』へ上書き確定。なお、物語の品位を保つため、略奪品の使用は固く禁じます】



 「ぎゃああああ!?」


 リーダーが懐に隠し持っていた袋が弾けた。中から転がり出たのは、リリアーヌの手によって置換された、薄汚れた『ただの河原の石コロ』だった。略奪という目的を失い、自らの醜い本性が注釈として衆目にさらされた暴徒たちは、恐怖に震え、次々とその場にひざをついていく。


 広場を飲み込んだ黄金の奔流ほんりゅうは、正門を越え、王宮の最深部――『薔薇の間』にまで到達した。


「わ、私の宝石が……栄華がぁ!」


 王妃が必死に抱え込んでいた宝石箱。そこからあふれ出したのは、かつての輝きを失った、価値のない石の山。リリアーヌの校閲眼は、このゴミ溜めの王宮に、宝石を身にまとう価値のある者など一人もいないと切り捨てたのだ。


 静まり返った広場。略奪者も、腐敗した王家も、等しく「無価値」へと突き落とされたその中心で。カイルが一歩前へ踏み出し、剣をさやに納める音を響かせた。


「……汚れたページは、今この瞬間に引き裂かれた」


 カイルがリリアーヌと視線を交わす。その瞳には、真なる統治者の輝きが宿っている。


「ここにはもう、略奪者に奪わせる財宝も、愚者に預ける王座も存在しない。――これより、俺がこの国の新たな『序章プロローグ』を書き記す」


 カイルの頭上の注釈が、一際まばゆい黄金の光を放った。



【※設定確定:この国の王はカイル・ヴァン・レガリアである。これより王道プロット――『真の即位』を開始します】



 「ふぅ……。随分と、骨の折れる修正(大仕事)でしたわ」


 万年筆を収めたリリアーヌが、疲れた様子でカイルにそっと寄りかかる。広場に立ち尽くす人々が見たのは、瓦礫がれきの山を背景に立ちながらも、世界で最も気高く、そして甘やかな空気をまとった二人の姿だった。


「カイル様。私の働きに見合う、極上のティータイムを『加筆』してくださるかしら?」


 カイルは愛おしそうに目を細めると、リリアーヌの指先にそっと唇を寄せた。


「ああ、もちろんだ。……私の物語に君という『光』が差し込んでくれて、本当によかった。これからは二人で、世界で一番美しいハッピーエンドをつづっていこう」

 本日もご愛読いただきありがとうございます!


 ついに明かされたカイル様のフルネーム。自らの手で「新章」を書き始めると宣言した彼の姿は、リリアーヌの隣に立つにふさわしい王そのものだったのではないでしょうか。ラストシーン、彼がリリアーヌに贈った言葉と仕草に、少しでも胸を熱くしていただければ幸いです。


 次回も、どうぞお楽しみに!

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― 新着の感想 ―
王国の修正が一応終了しました。これからは、新しい物語が始まるのですね♪先ずは国の名前を決めないと(笑) 害悪の彼らはこれから手に入れるのは相応なモノだけみたいですね。「欲しければそれに見合った行動を…
いいですね! 毎回最高です!
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