表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/87

『汚字(おじ)』だらけの革命ごっこは、この場で『ボツ』にいたしますわ

 「開けろ! 偽りの王家を引きずり出せ!」


 王宮の正門が、強硬派の放つ破城槌グランド・バスターの衝撃に悲鳴を上げる。かつて栄華を極めたその白亜の門は、今や乱筆に汚された原稿のように無惨むざんな傷跡を刻まれていた。


 王宮内部、『薔薇ばらの間』では、王妃イザベラが髪を振り乱し、震える手で自身の宝石箱を抱え込んでいた。


「衛兵……衛兵は何をしているの!? あんな、文法マナーも知らない下賤げせんな民どもに、この私が触れられるなど許しませんわ!」


 その頭上に、無慈悲な黄金の光が灯る。だが、当の王妃には、己を断罪するその文字は見えていない。



【※注釈:「責任転嫁」。自身の浪費と隠蔽いんぺいがこの暴動を招いた事実を棚に上げ、周囲にのみ解決を強要しています。物語のヒロインを名乗るには、あまりに語彙力ごいりょくが不足しています】



「な、何よその目は! 誰も彼も、私を馬鹿にして……!」


 王妃が周囲の貴族たちの「引きつった視線」に逆上する。貴族たちは、王妃の頭上に浮かぶ「醜悪しゅうあくな真実」を読んでしまい、彼女を助ける気が失せていく。



 ――バキィッ!!



 ついに正門が砕け散る。勝利を確信した強硬派の暴徒たちが、野獣のような咆哮ほうこうを上げてなだれ込もうとした、その刹那せつな


「――そこまでですわ。その『汚字おじ』をこれ以上、聖域に書き込むことは許しません」


 砂塵さじん舞う背後から、りんとした声が響く。黄金の万年筆を構えたリリアーヌと、抜刀し王者の風格をまとったカイルがそこにいた。


「リ、リリアーヌ……! なぜお前がここに!」


 強硬派のリーダーが足を止める。彼の頭上にも、『※注釈』が冷酷につづられる。



【※注釈:「設定矛盾」。自由を掲げて突入したはずが、その目は既に王宮の財宝への欲望で濁っています。革命プロットは、ここで『ボツ』です】



 リリアーヌは、クソ原稿をゴミ箱へ棄てるような視線を向けた。


「あら……。無断での『乱入』、およびプロットにない『破壊描写』。これらはすべて、私の辞書では『禁止事項タブー』とされていますわ」


「何を……! お前たち、まとめて殺してやる!」


 リーダーが叫ぶ。だが、彼が踏み出そうとした瞬間、周囲の仲間たちがざわつき、彼から距離を置いた。仲間たちには見えているのだ。リーダーの頭上に浮かぶ『王宮の銀食器を盗むための隠し袋』という注釈が。


「リリアーヌ。……君の言う通りだ。こんな『革命を装った略奪まがいもの』に、我が国の未来は預けられない」


 カイルが剣を一閃させると、精霊の光が地面に境界線を引く。


「皆様、落ち着きなさい。あなた方の怒りは『誤字』、暴力は『脱字』。そして、自らの醜態が『丸見え(フルオープン)』であることにも気づかないその鈍感さは……落第ですわ」


 リリアーヌが万年筆を振りかざす。


「腐りきった旧体制も、理性を捨てた暴徒も、まとめて一つのゴミ溜めですわね。――私が、この汚れたページをまるごと『一括置換ワールド・オーバーライト』して差し上げますわ。さあ、覚悟はよろしいかしら?」

 本日もご愛読いただきありがとうございます!


 ついに正門が突破され、王宮が絶体絶命の危機に……というタイミングで、リリアーヌ様とカイル様が颯爽さっそうと駆けつけました。


 次話もどうぞお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
やっぱり!結局のところ財宝という目の前のエサに食いつきたい駄犬が煽っているだけでしたね♪お宝を手に入れたらすぐにトンズラするはずだったのでしょうけど、残念でした(笑) 一応自分の部屋から出てこれたん…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ