『汚字(おじ)』だらけの革命ごっこは、この場で『ボツ』にいたしますわ
「開けろ! 偽りの王家を引きずり出せ!」
王宮の正門が、強硬派の放つ破城槌の衝撃に悲鳴を上げる。かつて栄華を極めたその白亜の門は、今や乱筆に汚された原稿のように無惨な傷跡を刻まれていた。
王宮内部、『薔薇の間』では、王妃イザベラが髪を振り乱し、震える手で自身の宝石箱を抱え込んでいた。
「衛兵……衛兵は何をしているの!? あんな、文法も知らない下賤な民どもに、この私が触れられるなど許しませんわ!」
その頭上に、無慈悲な黄金の光が灯る。だが、当の王妃には、己を断罪するその文字は見えていない。
【※注釈:「責任転嫁」。自身の浪費と隠蔽がこの暴動を招いた事実を棚に上げ、周囲にのみ解決を強要しています。物語のヒロインを名乗るには、あまりに語彙力が不足しています】
「な、何よその目は! 誰も彼も、私を馬鹿にして……!」
王妃が周囲の貴族たちの「引きつった視線」に逆上する。貴族たちは、王妃の頭上に浮かぶ「醜悪な真実」を読んでしまい、彼女を助ける気が失せていく。
――バキィッ!!
ついに正門が砕け散る。勝利を確信した強硬派の暴徒たちが、野獣のような咆哮を上げてなだれ込もうとした、その刹那。
「――そこまでですわ。その『汚字』をこれ以上、聖域に書き込むことは許しません」
砂塵舞う背後から、凛とした声が響く。黄金の万年筆を構えたリリアーヌと、抜刀し王者の風格を纏ったカイルがそこにいた。
「リ、リリアーヌ……! なぜお前がここに!」
強硬派のリーダーが足を止める。彼の頭上にも、『※注釈』が冷酷に綴られる。
【※注釈:「設定矛盾」。自由を掲げて突入したはずが、その目は既に王宮の財宝への欲望で濁っています。革命プロットは、ここで『ボツ』です】
リリアーヌは、クソ原稿をゴミ箱へ棄てるような視線を向けた。
「あら……。無断での『乱入』、およびプロットにない『破壊描写』。これらはすべて、私の辞書では『禁止事項』とされていますわ」
「何を……! お前たち、まとめて殺してやる!」
リーダーが叫ぶ。だが、彼が踏み出そうとした瞬間、周囲の仲間たちがざわつき、彼から距離を置いた。仲間たちには見えているのだ。リーダーの頭上に浮かぶ『王宮の銀食器を盗むための隠し袋』という注釈が。
「リリアーヌ。……君の言う通りだ。こんな『革命を装った略奪』に、我が国の未来は預けられない」
カイルが剣を一閃させると、精霊の光が地面に境界線を引く。
「皆様、落ち着きなさい。あなた方の怒りは『誤字』、暴力は『脱字』。そして、自らの醜態が『丸見え(フルオープン)』であることにも気づかないその鈍感さは……落第ですわ」
リリアーヌが万年筆を振りかざす。
「腐りきった旧体制も、理性を捨てた暴徒も、まとめて一つのゴミ溜めですわね。――私が、この汚れたページをまるごと『一括置換』して差し上げますわ。さあ、覚悟はよろしいかしら?」
本日もご愛読いただきありがとうございます!
ついに正門が突破され、王宮が絶体絶命の危機に……というタイミングで、リリアーヌ様とカイル様が颯爽と駆けつけました。
次話もどうぞお楽しみに!




