【※緊急】猫パンチで飛んだ先が、よりにもよって禁忌の巨大要塞だった
山奥の静寂は、無機質な金属音と重低音によって切り裂かれた。
ミーニャの放った「猫パンチ・ホームラン」により、文字化けの荒波を越えて飛ばされたカイル。
音を殺して、湿った茂みの奥へと潜り込んでいた。
全身の痛みなど、気にする余裕はない。
視線の先――雲を突き抜けるような崖の手前に、本来存在するはずのない「巨大な要塞」が鎮座していたからだ。
「……このあたりだ。
何かが空から降ってきたぞ。警戒を強めろ」
冷徹な男たちの声が響く。
黒い装甲に身を包んだ、ゲシュタルトの魔導兵たちだ。
彼らが守護する場所は、山肌を削り取って築かれた、ステラリア王国を消滅させるための「戦略拠点」だった。
「……『筋書き粉砕砲』がバレたら、俺たちは終わりだ。
隠蔽作業を急げ」
カイルは唇を噛み締めた。
砲台には蒼い光が脈動しており、ステラリアへ照準が合わされている。
(ミーニャめ……。
とんでもない場所に俺を弾き飛ばしてくれたものだ。
……いや、神の悪戯か?)
カイルは腰の剣に手をかけ、呼吸を整える。
要塞全体を支配する魔導結界、無数に配置された防衛ドローン。
単身で乗り込むにはあまりに無謀だが、カイルの瞳に宿るのは絶望ではない。
リリアーヌなら、どう校閲する?
カイルは深呼吸をした。
「……さて。国家を揺るがすほどの巨大な『誤字』を、俺一人で書き換えてやろうじゃないか」
カイルは茂みから顔を出し、皮肉な笑みを浮かべた。
魔導の嵐が吹き荒れる中、ただ一人、要塞の心臓部へと歩き出す。
最後までお読みいただき、ありがとうございます!
カイル、まさかの禁忌要塞へ不時着です。
ステラリアを狙う巨大な『誤字』を、どうやって校閲するのか。
次回も、どうぞお楽しみに!




