『校閲錬金・七色虹竜』の先へ――時空魔法コンティニュー
コレット外伝は、ep.116 『校閲錬金・七色虹竜』……さようなら、若き日のお母様』の続きです。
時は遡る。
絶叫と共に、アルカディアがインクの飛沫となって四散した。
『さようなら、お母様。本当は……素直に甘えたかった……』
そう言い残し、私の身体は黄金の粒子となって、ステラリアの空へと完全に溶けた。
現在のリリアーヌのルートが正しく校閲された結果、悲劇の未来に生まれるはずだった私は、世界から絶対的に消去されたはずだった。
激痛はない。
ただ、暗闇すら存在しない「無」の領域へと、魂が流されていく感覚。
もう思い残すことはない――静かに終わりを受け入れようとした刹那。
ピコン、という無機質な電子音と共に、眩いシステムウィンドウが立ち上がった。
『転生しますか? それとも、このまま消滅ますか?』
「なっ……何ですの、これ……?」
呆然とする私の魂に、力強い声が語りかけてくる。
『俺はロウィン。
コレットは、異世界物語の未来から来たんだろ?』
どこからともなく響く声は、かつてないほどの重圧と慈愛を孕んでいた。
「ええ、ロウィン。魂の欠片になって、仲間をいっぱい救っているのね。
のんびりしている場合じゃなくてよ。シルヴァーナが困っていますわ」
私の言葉に、時空の狭間が大きく揺らぐ。
『シルヴァーナも理解はしているはずだ。全宇宙の危機が迫っている。
俺たちが干渉しすぎると、結果的に崩壊するだろう。
リリアーヌとカイルが覚醒して、物語を完結させる必要がある』
「転生して、私の力を貸せとでも? お断りですわ!
時空転生者であることが知れたら、様々な形で利用されるだけですもの。
未来の世界で、おじいちゃんとおばあちゃんから聞いた話ですわよ」
鼻を鳴らしてそっぽを向くと、時空の彼方から、ロウィンが深い溜息を吐く気配がした。
『……確かにその通りだ。
俺の血筋はどいつもこいつも、非業の運命を引き受ける星の下にいるらしい』
自嘲するような低い声に、私は眉をひそめる。
『時空管理局の連中は、恐らく、俺やシルヴァーナの血を引いている。
リチャードさんが協力しているから、悪い話にならないだろう。
どうしても、コレットの力が必要なんだ!』
ご一読ありがとうございました。
消滅したはずのコレットが、時空を超えて再び動き出しました。
引き続き、お付き合いいただけると嬉しいです。




