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禁書指定の物語『コレット・エピローグ』――すべてを霧散させる、朱マスクの女

「馬鹿め! わなだと知って、乗り込んできたのか!?」


 ゲシュタルトの将軍の怒号を合図に、一斉に魔導砲の砲口じゅうこうがリリアーヌたちへと向けられ、魔力の充填じゅうてんが始まる。



 ――だが、異変はその時すでに起きていた。



「な……なんだ、これは……っ!?」


 魔導兵の一人が悲鳴を上げる。


 いつの間にか、港を囲む広大な海が、不気味にうごめく漆黒の『文字』によって埋め尽くされていたのだ。


 ――黒いインクの濁流。


 凄まじい質量をもって跳ね上がると、罠を仕掛けたはずの魔道兵たちを容赦ようしゃなく呑み込んでいく。


「ぐあああああああ!?」


 阿鼻叫喚あびきょうかんの地獄絵図。


 それだけに留まらず、意思を持つ文字の波は、港ごとすべて呑み込もうと、天高く鎌首をもたげた。


 防戦一方、万事休すかと思われた刹那せつな


 ずっと無言を貫いていた、朱マスクの女があでやかな唇を開いた。


 手にした豪華な本デバイスを掲げ、声高に叫ぶ。



全文削除オール・デリート



 瞬間、世界が静止した。


 圧倒的な文字の海が、最初から存在しなかったかのように、光の霧へと変わっていく。



「……え?」



 リリアーヌの視線は、朱マスクの女が持つ本へと釘付けになっていた。


 主任校閲官の目が、表紙に刻まれた【真実】をはっきりと捉える。



『追記:コレット・エピローグ――』



「禁書指定にされたはずの物語を……どうして、あなたが……!?」



 リリアーヌが驚愕きょうがくに目を見開く。


 だが、朱マスクの女が答えるより早く、どこからか吹き抜けた圧倒的な嵐が、大陸の港を激しく揺るがした――。

 祝・第200話!!


 読者の皆様のおかげで、ついに大台へと到達することができました!


 本当にありがとうございます!

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― 新着の感想 ―
高笑いはしなかったんだ。悪役の役割なのに♪ちゃんと悪役をしないと。 突然の介入はオヤクソクの一つですね♪第三者が現れて三つ巴の争いになるとか。或いは敵味方が一時共闘して戦うんだけど、こちらは無理そう…
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