【※注閲】手のひら返しはお断りですわ?
ステラリア王宮に新設された「大舞踏会場」。
きらびやかな装飾とは裏腹に、実態は、国内の勢力図が塗り替わったことを知らしめる「処刑場」と化していた。
「我が領地で採れた、極上の魔鉱石をご献上したく……!」
「国営ギルドの件、我が家も資金を拠出する用意が――」
「……下がれ。
今はリリアーヌと話している」
冷徹な一言で群がる貴族を一蹴したのは、ステラリアの最高権力者、カイル陛下だった。
寄り添うのは、誰もが認める次期王妃候補、公爵令嬢リリアーヌ。
「……ふふ。顔色を窺って、日和見していた地方有力者たちが、必死なこと」
会場を見渡せば、宰相派をはじめとする重鎮たちが、冷や汗を流して、こちらを窺っている。
それもそのはず。
エレオノーラ監修のもと、本格稼働したリリアーヌの『国営ギルドシステム』。
ナニワ商会からの最強の融資、そして完璧な『仕様書』通りのホワイト運営により、ステラリア国内外の有能な冒険者やソロの逸材、果ては流出していた会員までが、もの凄い勢いでリリアーヌの元へと集まっていた。
経済を抑えられ、軍部と冒険者を掌握され、さらにカイル陛下という絶対の盾まである。
改革の波に置いていかれまいと、有力貴族たちは焦りを隠せないのだ。
「カイル様、彼らの『注釈』が出ていますわよ」
リリアーヌが扇で口元を隠し、クスクスと笑う。
カイルに取り入ろうと、必死に頭を下げている貴族たちの頭上には、【本音】が強制表示されていた。
『※注釈:リリアーヌを【校閲だけの無能】と、裏で嘲笑っていた。
領地の冒険者が全員夜逃げして破綻寸前のため、必死で媚びを売っている』
血のような赤字が、煌々と宙に浮いている。
カイルは貴族たちに冷ややかな視線を向け――しかし、リリアーヌに向ける微笑みだけは、どこまでも甘く蕩けていた。
「不実な者たちの言葉など、一文字も聞く価値はないな。
……リリアーヌ、次の曲は俺と踊ってくれるか?」
「ええ、喜んで。カイル陛下」
慌てふためく重鎮たちを余所に、二人は優雅にステップを踏み出す。
腐ったプロットに塗れた貴族たちの焦燥を置き去りにして、王道なるハッピーエンドへの正史が、いま確実に刻まれていた。
最後までお読みいただき、ありがとうございます!
ホワイト国営ギルド、威力が強すぎて国内外から冒険者が大激増!
日和見おじ様たちの頭上が大変なことになってしまいました(笑)
次回もどうぞ、お楽しみに!




