【※注釈】ナニワ商会の裏口融資――他人の物語にガリガリ介入します
ステラリア王都の一角。
どの勢力図にも存在しないはずの看板が掲げられていた。
――『ナニワ商会・ステラリア出張所』。
奥座敷で、一人の男が深く頭を下げる。
「報告、ええですかな?
……ステラリア、ひいては全物語の修正状況についてや」
ヨサコイ・ナンデヤネンの言葉が終わる前に、対面に座っていた少女が、盛大にタピオカを噴き出した。
「ぶふっ! ……ちょ!
アンタの出番は終わりやなかったん!?」
真っ赤なドレスを揺らし、ソロバンを振り回して抗議するのは、異世界の豪商――エリザベス。
静かに茶を啜っていた青年、レインが、無造作に指を鳴らした。
パチン、と乾いた音が響く。
刹那。
世界の法則を欺く「認識阻害」が粉々に砕け散り、ヨサコイが真の姿へと移り変わる。
正体を現したカシムは、契約書を差し出す。
「エリザベス様。
仰せの通り、無利息融資の契約は滞りなく完了いたしました」
「……まあ、シルヴァーナちゃんの頼みやしな。
全銀河が滅んだら、ウチらの帳簿も真っ赤っかや。
リリアーヌとカイル……二人にはハッピーエンドになってもらわんと」
エリザベスが不敵に笑う。
レインの瞳に、青い光――「異世界物語の仕様書」の文字列――が浮かび上がった。
「……直接干渉できるのは、ここまでだ」
アリス、リヴィア、エルナ、シュガー、葵といった仲間たちが、確固たる意志を込めて頷く。
「せやな。外から他人の物語に文章書くのは、無粋ちゅうもんや。
……あとはリリアーヌが『赤ペン』で、腐った運命を根こそぎ校閲して終わりやで!」
最後までお読みいただき、ありがとうございます!
さあ、ここからはリリアーヌのターン(?)
赤ペンの輝きを、どうぞお楽しみに!




