↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
187/237

「ネギとマヨネーズ」は軍規ですが、何か?


 ステラリア王国、騎士団演習場。


 選抜試験の最終種目を前に、戦場さながらの緊張感が漂っていた。


 千人隊長候補として残った十名の精鋭が、鋭利なレイピアを手に、リリアーヌの前に整列している。


「皆様、よくぞここまで残られましたわ」


 リリアーヌは、扇子で口元を隠して優雅に微笑んだ。


 後ろで、ヨサコイ・ナンデヤネンが、油の乗った鉄板を前に、「へっへっへ」と揉み手をしながら控えている。


「皆様の『精密動作』と『騎士としての気品』を、同時に測らせていただきますわ。

……ヨサコイ様、ご説明を」


「合点だす! 皆様、ええですか。

鉄板の穴……これこそが、戦場における『敵の急所』。

そして生地は、守るべき『民の命』だと思っておくんなはれ!」


 ヨサコイの合図と共に、熱せられた鉄板に白い生地が注ぎ込まれた。


 ジュワッ、という音と共に立ち昇る、香ばしいソースの予感。


「さあ。レイピアで、生地を傷つけることなく、淀みない円を描き、完璧な球体へと導きなさい!」


「なっ……!?」


「レイピアで、丸い塊をひっくり返せというのか!?」


 愕然がくぜんとする候補者たち。


 だが、最前列にいたカイルが、静かに剣を抜いた。


「……惑うな。これは、敵の攻撃をいなしつつ、最小の予備動作で急所を突く『神速の一突き』そのもの。

リリアーヌ、見事な試験だ」


 カイルの言葉で、騎士たちの目に火が灯った。


「おおお!」という雄叫びと共に、十本のレイピアが乱舞する。


 カツカツカツ! と銀の切っ先が鉄板を叩き、凄まじい速度で「たこ焼き」が回転していく。


 リリアーヌはオペレーションを、ミシェロンシェフのような鋭い眼差しで見つめ、一人の騎士の前で足を止めた。


「そこ。ソースの乗りが均一ではありませんわ。

仕上げの彩りが欠けていては、騎士の誇りが泣きますわよ」


 リリアーヌは、用意された薬味の皿を指差した。


「よくお聞きなさい。

……『ネギ』と『マヨネーズ』を美しく置くことこそが、騎士のたしなみですわ」


「ネギと、マヨネーズ……!?」


「左様ですわ。どんなに鋭い剣を振るえても、最後に受け取る側の心を彩れないようでは、真の千人隊長とは呼べません。

……さあ、校閲なおして差し上げますわ!」


 リリアーヌが赤ペンならぬ、黄金のピックを掲げた。


 その瞬間、演習場は、戦いの熱気と、どこか懐かしい「ナニワ」の香りに包まれる。



【※注釈:魔法騎士の固有スキルと組み合わされ、魔神皇国との戦いで、英雄騎士が誕生する】

 最後までお読みいただき、ありがとうございます!


 騎士団の未来を賭けた選抜試験。


 「精密動作の訓練」と言い張れば、レイピアでたこ焼きを回すのも立派な修行……なのでしょうか。


 カイル様が納得してしまったので、もう誰も止められません。


「ネギとマヨネーズは、騎士のたしなみ」


 リリアーヌ語録が、後のステラリア王国の軍規に刻まれる(?)ことになるとは……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
……確かに芸術も必要ですけど、「たこ焼き」にそこまでこる必要があるのかな? 重要な事があります。「青のり」に「かつお節」と「紅しょうが」。コレを投入するタイミングです。それと、「マヨネーズ」もね♪ …
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。