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第28話 今度の依頼は超強敵!?ベーカリーズ、四人で挑むことにしました

 翌朝。


 俺たちは冒険者ギルドに来ていた。


「今日はどれにする?」


 リリアーナが掲示板を見る。


「昨日のグレートウルフより強い依頼は……」


 ミリアが探す。


 俺も掲示板を眺める。


 そして。


 一枚の依頼書が目に入った。


【街道東部・魔物討伐】


【対象:オーガ】


【危険度:上級】


【推奨人数:四名以上】


【報酬:金貨二枚】


「……」


 上級。


 これまで受けてきた依頼とは、明らかに格が違う。


「オーガ……」


 セレナが依頼書を見る。


「かなり強い魔物ですね」


「そうだな」


 受付嬢に確認する。


「オーガは一体ですか?」


「現在確認されているのは一体です」


「被害は?」


「街道を通る荷馬車が襲われています。幸い死者は出ていませんが、負傷者が何人か」


「なるほど」


 俺は依頼書を見る。


 金貨二枚。


 かなり高い。


 それだけ危険ということだろう。


「どうする?」


 三人を見る。


 リリアーナは弓を握っている。


「やろう」


 ミリアも頷く。


「私も」


 セレナ。


「私も行きます」


「……」


 俺は少し考える。


 オーガ。


 強いだろう。


 でも。


 俺たちはここまで来た。


 ゴブリン。


 ウルフ。


 ホーンラビット。


 オーク。


 グレートウルフ。


 全部倒してきた。


 それに。


 俺たちには【食玩】がある。


「分かった」


 依頼書を受付へ持っていく。


「受けます」


「お気をつけて」


 受付嬢が真剣な顔で言った。


「上級依頼です。無理だと思ったら撤退してください」


「分かりました」


     ◇


 出発前。


 俺たちは宿に戻った。


「何してるの?」


 リリアーナが聞く。


「準備」


「準備?」


「ああ」


 俺は【食玩】を開く。


「今日は食べられるだけ食べてから行く」


「いいね!」


「賛成」


「私もです」


 画面を操作する。


 今日選んだのは。


【チキンサンド】


【ベーコンチーズバーガー】


【カレーパン】


【クリームデニッシュ】


 四つ。


 紙袋が出現する。


「いただきます!」


 リリアーナがクリームデニッシュを手に取る。


 表面には薄く砂糖がかかっている。


 ナイフなど使わず、そのままかじる。


 サクッ。


 生地が幾層にもほどける。


 バターの香り。


 その中から甘いクリームがとろりと広がる。


「んー……!」


 リリアーナが目を細める。


「これ美味しい!」


「そんなに?」


「すごく!」


 ミリアはチキンサンド。


 しっとり柔らかなパン。


 その間に香ばしく焼かれたチキン。


 レタス。


 ソース。


 一口。


「……」


 ミリアがゆっくり噛む。


「美味しい」


 セレナはベーコンチーズバーガー。


 厚いパティ。


 カリッと焼かれたベーコン。


 とろけるチーズ。


 ふわふわのバンズ。


「いただきます」


 ガブッ。


 肉汁が溢れる。


 ベーコンの香ばしさ。


 チーズの濃厚さ。


 ソースの甘み。


 全部が重なって。


「……」


 セレナが目を閉じる。


「これ……好きです」


「よかったな」


「はい」


 俺はカレーパン。


 表面はサクサク。


 中はふわふわ。


 割ると熱いカレーがたっぷり。


 スパイスの香り。


 肉の旨味。


 玉ねぎの甘さ。


 パンの香ばしさ。


 かじる。


 ザクッ。


 中から熱いカレーがとろり。


「……熱っ!」


「ふふ」


 ミリアが笑う。


「気をつけて」


「でも美味い」


 もう一口。


 今度はゆっくり。


 やっぱり美味い。


「これで準備万端」


「本当にパンで準備するんだ」


「俺たちらしいだろ」


「確かに」


     ◇


 そして。


 カードを見る。


 四枚。


【SKILL CARD】


【攻撃力強化Ⅲ】


【魔力強化Ⅱ】


【弓術強化Ⅱ】


【身体強化Ⅲ】


「……」


 かなり強い。


 俺は攻撃力強化Ⅲ。


 リリアーナは弓術強化Ⅱ。


 ミリアは魔力強化Ⅱ。


 セレナは身体強化Ⅲ。


 それぞれカードを持つ。


「使う」


「使う!」


「使う」


「使います」


 光が四人を包む。


『【攻撃力強化Ⅲ】を習得しました』


『【弓術強化Ⅱ】を習得しました』


『【魔力強化Ⅱ】を習得しました』


『【身体強化Ⅲ】を習得しました』


 俺は拳を握る。


 力が増している。


 セレナも身体を動かす。


「……かなり違います」


「俺もだ」


「これなら」


 リリアーナが弓を持つ。


「遠くからでもちゃんと倒せそう」


 ミリアも杖を握る。


「魔力が増えた」


「よし」


 準備はできた。


     ◇


 街道東部。


 現場に到着する。


「……」


 馬車が一台、道の端に止まっている。


 車輪が壊れている。


 近くの地面には大きな足跡。


「オーガのものですね」


 セレナが言う。


 俺は索敵する。


「いる」


「どこ?」


「前方の森」


 巨大な気配。


 一つ。


「行こう」


     ◇


 森の中。


 いた。


 オーガ。


 巨大。


 オークよりさらに大きい。


 手には巨大な棍棒。


「……」


 オーガがこちらを見る。


 そして。


 笑った。


「来るぞ!」


 地面が揺れる。


 オーガが突進してくる。


「リリアーナ!」


「任せて!」


 矢。


 肩。


 二本目。


 胸。


 しかし。


「硬い!」


 矢が深く刺さらない。


「ミリア!」


「火よ!」


 巨大な火球。


 オーガに直撃。


 爆発。


 煙。


「どうだ!」


 煙の中。


 影が動く。


「まだ!」


 オーガが出てくる。


 多少焦げている。


 だが。


 まだ元気だ。


「……強い」


 セレナが言う。


「俺が行く!」


 前へ。


 オーガが棍棒を振る。


 受ける。


 ドンッ!


「ぐっ!」


 吹き飛ばされる。


 地面を転がる。


「アレン!」


「大丈夫!」


 立ち上がる。


 腕が痺れている。


 でも。


 戦える。


「セレナ!」


「はい!」


 セレナが走る。


 身体強化Ⅲ。


 剣速強化Ⅰ。


 剣技強化Ⅲ。


 一気に距離を詰める。


 斬撃。


 オーガの腕に傷。


「効いた!」


 もう一撃。


 オーガが棍棒を振る。


 セレナが避ける。


「速い!」


 さらに斬る。


「リリアーナ!」


「今!」


 矢が飛ぶ。


 目の近く。


 オーガが顔を庇う。


「ミリア!」


「これで!」


 炎。


 大爆発。


「今だ!」


 俺が突っ込む。


 攻撃力強化Ⅲ。


 剣を振る。


 オーガの腹を斬る。


「ぐおおおおお!」


 オーガが叫ぶ。


 まだ倒れない。


「こいつ……!」


 強い。


 想像以上だ。


 オーガが棍棒を振り回す。


 俺とセレナが避ける。


「アレン!」


「分かってる!」


 セレナと背中合わせになる。


「右は任せる」


「左は私が」


「行くぞ!」


「はい!」


 二人で同時に走る。


 オーガが右を向く。


 俺が斬る。


 左を向く。


 セレナが斬る。


 振り返る。


 リリアーナの矢。


 魔法。


 四人の攻撃が次々に入る。


 少しずつ。


 確実に。


 オーガの動きが鈍くなる。


「あと少し!」


 ミリアが叫ぶ。


「最後!」


 リリアーナが弓を引き絞る。


「いくよ!」


 矢。


 オーガの肩。


「セレナ!」


「はい!」


 斬撃。


「アレン!」


「任せろ!」


 俺が踏み込む。


 剣を振り上げる。


「これで!」


 振り下ろす。


 オーガが大きくよろめく。


 そこへ。


 ミリアの魔法。


 炎が炸裂する。


 オーガが倒れた。


 ズシン。


 地面が揺れる。


「……」


 静かになった。


「終わった?」


 リリアーナが聞く。


 索敵。


「……ああ」


 オーガ一体。


 反応なし。


「終わった」


「やった!」


 リリアーナが両手を上げる。


「勝った!」


 ミリアも息を吐く。


「強かった……」


 セレナは剣を鞘に戻す。


「でも」


「ん?」


「勝てました」


「ああ」


「四人で」


 セレナが笑う。


「はい」


     ◇


 依頼達成。


 街へ戻る。


 ギルドに報告すると、受付嬢が目を丸くした。


「オーガを……?」


「一体です」


「四人で?」


「はい」


 報酬として金貨二枚を受け取る。


 ずっしりと重い。


「お疲れさまでした」


「ありがとうございます」


 ギルドを出る。


 夕方。


 街が赤く染まっている。


「……」


 四人で歩く。


 誰も喋らない。


 疲れている。


 でも。


 全員、笑っている。


「アレン」


 ミリアが言う。


「何?」


「今日の夕飯」


「うん」


「何にする?」


 俺は笑った。


「もちろんパンだろ」


「やった!」


「私はカツサンドがいいです」


「私はハンバーガー」


「じゃあ俺は……」


 少し考える。


「今日は奮発して、全部買おう」


「全部?」


「全部」


 三人が顔を見合わせる。


「食べきれる?」


「食べる!」


「頑張ります」


「私も」


「よし」


 俺たちは宿へ向かう。


 これで。


 大きな依頼は終わった。

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