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Seventh Remnant ―竜王の牙を継いだ少女―  作者: 星野 澄夜
罪を背負った最後の竜王(4)
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0-4 竜の遺骸


歓声が上がった。


最初は数人だけだった。


勝利を叫ぶ声。


安堵の涙。


生き残ったことへの歓喜。


だが、それは瞬く間に広がっていく。


やがて波となり。


そして戦場全体を揺るがす大歓声へと変わった。


人々は地に膝をついた。


涙を流しながら勝利を神へ感謝する者もいた。


兵士たちは武器を掲げる。


誰もが叫んでいた。


竜族の時代は終わったのだと。


最後の竜王は討たれたのだと。


長き戦争は終結したのだと。


その日。


世界は勝利に酔いしれた。


各国の使者たちが戦場へ足を踏み入れる。


王国。


帝国。


聖教会。


魔導国家。


数多の勢力が集まった。


だが彼らが見ていたものは一つだった。


闇竜王が消えた場所ではない。


その周囲に散らばる遺骸だった。


最後の竜王の亡骸。


そして世界最大の戦利品。


誰もがそれを欲した。


黒き角は切り取られた。


王国はそれを聖匣へ封印し、永遠の勝利の証として保存した。


巨大な竜骨は帝国へ運ばれる。


新たな武器を造るためだった。


竜血は一滴残らず回収された。


聖教会の地下深く。


決して人の目に触れない場所へ保管される。


漆黒の鱗は貴族や商会によって競い合うように買い取られていった。


鎧となる。


盾となる。


護符となる。


その価値は黄金を遥かに超えた。


竜牙もまた例外ではない。


一本一本が回収されていく。


剣の刃となるもの。


杖へ組み込まれるもの。


神殿に奉納されるもの。


用途は様々だった。


人々は誇らしげに語る。


これは竜王を討った証だと。


これは英雄たちが勝ち取った栄光だと。


世界は祝福した。


世界は歓喜した。


世界は最後の竜王の亡骸を切り分けた。


保管し。


売買し。


飾り立て。


語り継いだ。


そうして生まれた数々の宝物は、いつしか「勝利の象徴」と呼ばれるようになる。


それを不敬だと言う者はいない。


それを残酷だと言う者もいない。


なぜなら。


それは罪竜の遺骸だからだ。


世界の敵だった存在だからだ。


竜族の時代を終わらせた証だからだ。


誰もが信じていた。


闇竜王は悪であり。


討たれるべき存在だったのだと。


だから疑う者はいなかった。


その死を。


その罪を。


その真実を。


誰も知らないまま。


世界は前へ進み始める。


そして。


誰もが同じように信じていた。


すべては終わったのだと。

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