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傑物の一族の傑物ですが、なにか?  作者: 猫側縁
第3章 学生 シエル
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第23式

今更ですがブクマ500件超えました!

皆様いつもありがとうございます。



クラウスが再起動するまで(ものすごいロボっぽい言い方になったけど、何故か俯いて小刻みに震え黙り込んでいる姿を見ると、バグったのかなって思ったから……)お菓子を食べて待っていると、丁度おやつ第三弾が出てきたところで元に戻った。……おやつ。


「……そんなに食いたいなら、食っていいぞ。俺の分も含めて土産に持って帰っていい」

「ほんと⁉︎じゃあ大人しく私がお菓子食べてる間に概要の説明をどうぞ!」

「切り替え早いな」


まあいい。お前はそういう奴だ。と、クラウスはなにかを諦めたらしく、近くにいた執事さんから書類を新たに受け取った。


「日時は先程説明した通り。基本的自薦他薦問わずのエントリー制だ。出場者数が多いなら予選を行うが、あまり能力値が低くても困るため、各学科の成績上位者2名は無条件で参加可能にする。勿論、参加を望まない場合は出場する義務はない。

内容はシンプルだ。一対一を行い、フィールド内であれば魔法、剣、錬金術や召喚術など学校内で学べることで闘うなら反則とはならない。ただし、国の法に触れるようなことに関しては行った瞬間反則とみなす。

優勝者、準優勝者、第3位までは、まあ外の大会には及ばないが、景品を出す。優勝者に関しては来年の外の大会のシード権を確約する」


わあ。意外と豪華な景品だこと。あれ?でも、もし優勝者が1、2年生だった場合、来年学校の大会の方にも出たいって言い出したらどうするの?……へー、来年は日にちをずらすのか。……じゃあ何で今年は被せるのさ。スケジュールの空きの関係?……なら仕方ないか。


「あと1ヶ月切ってるけど、出場者は決まったの?」

「魔法科、騎士・剣士科からは多数の立候補があった。向き不向きがあるのは分かるが、召喚術科からの出場者がいない。シエルが出るなら歓迎だ」

「……まあ、気持ちは分かる。……私は召喚術科の生徒だからって、召喚術だけしか使っちゃいけないとか、そういう縛りはないよね?」

「ああ。それは勿論だ。

……ところで、何で召喚術科の生徒が参加したがらないんだ?シエルを除いた召喚術科の成績上位者は、ミティ・シェアース侯爵令嬢と、レオン・バドフォン伯爵令息の2人だが、2人とも魔法の扱いが上手い上に召喚術も使えるとなれば、召喚術科の発展の為にも出場に前向きだと思っていたんだが」


……ああ。私の研究室に来て物凄く勉強していく2人だ。まあ、まじめに頑張ってるもんなぁ。


「召喚術の宣伝には使えるよ。でもね、そこに戦闘が絡むなら、話は変わってくるよ。2人が喚び出す子たちって、非戦闘向きだと思う。喚び出される子たちは、多くの場合心の拠り所というか、癒しというか、とりあえず友人といえる大切な子達な訳よ?私は多少危なくても守る自信があるからケットシーとかを喚び出せるけど、ミティ達はどうだろうね?

喚び出して宣伝はしたくても、戦いには向かず、なら何で呼び出した?って言われる事は想像に難くない。……そうすれば、召喚術の評判はどうなる?上がるどころか今より廃れるよ」

「……成る程。各専門科の宣伝か……」

「大会で戦闘に入る前に何か宣伝時間でも設ける?騎士・剣士科による剣舞とか」


出来るかはともかくとしてね。


「……剣舞……はしないだろうが、出場者の所属する専門科のパフォーマンスは有りだな。来年度入学の貴族の子供はまず間違い無くこの祭りを観にくる」

「……別に宣伝しなくてもいい気がしてきた」


よくよく考えてみたら、この学校魔力があれば入るんだし、専門科の人数とか増えなくていいや。また教授に脱走されたら、私が教える事になるんだし。なるべく少なく……けど潰すに至らないくらいの人数になるようにしたい。


「……召喚術に関しては、一年生の中でも評判になっている。どう足掻こうが、来年度の専門科の人数は今の倍にはなると思うぞ」

「わかった。来年度までにスピカさんを准教授にしよう。私は旅に出る」

「却下」


……はあ、何のしがらみも縛りもない、ついでに目的地もない旅が恋しい。


「……先程までの話を聞くに、お前なら専門科の宣伝をしつつも戦えるよな?というか、俺との手合わせや攻略時に召喚術を魔法の次に使っていただろう。

十分に有用性のある専科だと宣伝できる」

「んー。まあ、そうなんだけど……」

「……興が乗らない、とか言うのか?」


まあ、そりゃ、そうだよねえ。だって、さあ……。


「……自惚れも大概にしろとか言われそうだけど、この学校の中で、縛り無しの私に勝てる人、いるの?」


これ、驕りでも何でもないから。ただの事実確認だから。場合によっては私が出るのはやめた方が良いだろうし。その時は……ミティ達鍛えてなんとか戦闘向きの子を召喚できるように、頑張るよ。……色々と。


「……教授たちも、参加可能にするか?」

「あはは。……うーん、どうしようね。私だけ条件付きにした方が楽だと思うけど」

「条件付きって、どうするつもりだ?」

「魔法を使ったら即刻失格、とか」

「……それで戦えるのか?」

「勿論。舐めてもらっちゃ困るなぁ。

私は、魔法が無くても戦える人間だよ」


そうなる為に、ずーっと努力したんだから。努力して、そして、結局守れないものもあったけど、とりあえずのところ、私が一番大切な私自身の命は守れている。


「それに私には召喚術・錬金術・剣術・格闘術、その他諸々……使えるものは、多分普通よりはまだ多いよ」

「お前がいいなら、構わないが……」


それで勝てなくてもいいのかと言われた。何言ってるの?


「勝つか負けるかわからないからこういう力比べは楽しいんじゃん」

「そういう考え方は、余程の強者しかしないとおもうんだが」

「観客目線で考えて。どちらに賭ければ大勝ちか分からないあの緊張感、超楽しい」

「……取締りは、厳しくするぞ」


……こういう催し物って絶対賭け事が裏で行われるから、自分に賭けてちょこっとボロ儲けしようと思っただけなのに。え?主人公としてありえない?まだ賭けてないし。思っただけだし。賢く稼ごうと思っただけだし。


「まあ半分冗談は置いといて、どうしよう。やっぱりミティとか鍛えて出す?」

「……半分は魔法不使用の件か?それとも賭けの……いや、なんでもない。それよりも、あのご令嬢、お前に言われたら張り切り過ぎて当日の朝に体調不良で倒れそうな気がする」

「おいおい、私は薬か何かかな?」

「ある意味間違っては「ク ラ ウ ス ?」いや、何でもない。気にしないでくれ。明日から出場者に当日の注意事項について直接確認に行くから、付いてくるか?」


なるほど、直接確認しろと。そういう事だろうか。大人しく付いてくと言えば、だいぶ訝しげに見られた。うわ、信用無いなぁ。

確認もしくは手合わせしないと、私がどうするかきめられないので、明日考えることになった。よし、これでお菓子に集中できる。ティータイムティータイム。


「……シエル、お前の髪の色……そんなに暗かったか?」

「ん?」


どうしよう。クラウスが急に変なことを言い出した。短く整えて居た時と違い、私の髪はだいぶ伸びてきたので、一括りにしてるから、自分じゃ見えないんだけど?……朝の身支度の時に鏡を見ないのか?その質問に対してはこう答えよう。

私がぼーっとしてる間に、身なり整えてくれる、ケットシーっていう友人やメイさんっていう侍女さんが私には居るんだよ。


「気のせいかもしれないが、初めて会った時より、灰色に近いような気がする」

「灰色……?」


……髪の色、変わった?鏡を取り出して見てみれば、成る程。確かにそこにいるのは灰色に近い銀色の髪の少女だ。髪に触れて観察すれば、何が起きているかはすぐにわかった。


「魔力が飽和しちゃってるからだよ」

「飽和?」

「まあつまり、最近体内の魔力消費量が思った以上に少な過ぎて、余分な魔力が有り余ってるせいで、少しでも魔力の回りが少ないところに体が魔力を回そうとして、一番無害な髪の色に出てきたってところかな!」

「……お前1日に2回は転移魔法使ってるよな?あれ、相当膨大な魔力を消費すると本にかいてあったぞ。どこに有り余ると言うんだ」

「いやぁ〜。……余ってるんだろうね」


ほら、お金だって無いとか言っておきながら、あるところにはしっかりあるんだからそれと同じ……同じにするなって?やれやれ。

クラウスが少し表情を曇らせている。なにかね。


「体の調子に支障は無いのか?」

「それはもちろん。あるなら私は頻繁にいろんな迷宮で魔法の試し撃ちをしまくってるよ」


何で迷宮かはご理解ください。あそこほど頑丈な場所も無いんだよ。いくら破壊しまくっても、時間が経てば元どおりっていう素晴らしい空間。ただ本音を言えば、降りてきた人が巻き込まれない自信はないから、出来ることなら星降りの迷宮のかなり深部……人が来れるわけねえだろってくらいのところでやりたいんだけどね。その為に入場許可が欲しいんだけどね。


「まあ、問題ないから気にしないで。少し暴れれば元の髪色に戻るよ」

「……出来る事なら、暴れずに魔力消費してもらいたいんだが」


そんな都合のいい方法が……あるかも?


「ねえクラウス、今から王宮の図書室に入れたりする?」


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