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星間移民船アマテラス〜人類が眠っている間に、移住先がファンタジー世界になっていた件〜  作者: 只野屍


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第59話 魔王からの贈り物

蓮の挨拶が終わっても、創造神聖誕祭の熱気が冷める気配はなかった。


むしろ「今日は食ってけ!」という主役本人のお墨付きを得たことで、ケーキの提供区画には再び長い列ができている。


「次はチョコレートケーキにする!」


「私はさっきのモンブランというものをもう一度食べたい」


「同じものばかりではもったいないぞ。四百種類以上あるのだろう?」


「全部食べるつもりか?」


会場のあちこちから笑い声が聞こえてくる。


ステージから降りてきた蓮は、その光景を眺めながら美冬の隣へ戻った。


「いやあ、疲れた」


「お疲れさま」


「挨拶なんて聞いてなかったぞ」


「ちゃんとできてたじゃない」


「最後にケーキ目当ての奴らがあんなに手ぇ上げるとは思わなかった」


美冬が笑う。


「聞かなきゃよかったのに」


「いや、あれは確認しておくべきだった」


「何のために?」


「今後の俺の精神衛生のために」


「余計悪くなったでしょ」


「うん」


「でも、いい挨拶でしたよ」


横から声がした。


振り向くと、皿を手にしたリシェルが立っていた。


「リシェル。いたのか」


「いました」


「全然見なかったけど」


「人が多すぎるのです。私もあなたを探すのに苦労しました」


リシェルは少し不満そうに言ってから、自分の皿を見る。そこには三種類のケーキが乗っていた。


蓮もそれを見る。


「……結構食ってるな」


「これは研究です」


「何の?」


「人間の食文化の」


美冬が笑った。


「便利な言葉ね、研究って」


「事実です。それに――」


リシェルはチョコレートケーキを一口食べ、少し間を置いた。


「……これは非常に興味深いです」


「ただ気に入ってるだけだろ」


「研究です」


そこだけは譲らなかった。


蓮は近くにあった魔王印のケーキを一つ取った。透明なフィルム中央には、相変わらず堂々と《魔》の一文字が印刷されている。


「しかし本当に人気だな、これ」


『…………』


REGULATORからの返答はない。


「魔王?」


『何だ』


蓮はニヤリとした。


「呼んだら返事するようになったじゃん」


『…………』


美冬が吹き出し、リシェルは不思議そうに音声端末を見上げた。


「以前より自然に返事をするようになりましたね」


『違う』


「リシェルまで言ってるぞ」


『貴様が当機構を呼んでいることが明白だったため応答しただけだ』


「つまり魔王で通じてる」


『違う!』


「はいはい」


その時だった。



      ◇



「何か来る!」


会場の一角で、エルフの子供が空を指差した。


周囲の者たちが次々と顔を上げる。


蓮も視線を空へ向けた。


「ん?」


巨大な箱が飛んでいた。


翼もない。回転翼もない。噴射炎もなければ、目立った推進音すらない。


白を基調とした箱の表面には花や植物を模した立体装飾が施され、光を反射する帯状の素材が巨大なリボンのように巻かれている。


その華やかな箱が、重力制御によって何の支えもなく空中を滑るように中央広場へ近づいてきていた。


リシェルが目を細める。


「……あれも人間の乗り物ですか?」


「いや、俺も知らん」


「蓮が知らないのですか?」


「知らない」


美冬も首を振る。


「私も聞いてない」


「イザナミ?」


『安全上の問題はありません』


「中身は?」


『REGULATOR-01により情報が制限されています』


蓮の眉が上がった。


「魔王?」


『特別に用意した』


低い声が会場全体に響いた。


「俺、あれ聞いてないぞ」


『当然だ。知らせていない』


「なんで?」


『事前に知らされていない演出は、祝祭における参加者の満足度を高める傾向がある』


蓮は美冬を見る。


「こいつ、サプライズ覚えたぞ」


「成長したわね」


リシェルが首を傾げる。


「さぷらいず?」


「驚かせて喜ばせるってこと」


美冬が教える。


「なるほど」


リシェルは空中の巨大箱を見上げた。


「私はすでに驚いています」


『計画通りだ』


「なんか腹立つな」


『聞こえている』


巨大な箱は姿勢を完全に保ったまま、ステージ前の空いた区画へ降下していく。やがて地面すれすれで静止すると、そのまま音もなく浮遊を続けた。


会場中の視線が集まる。


そしてREGULATORの声が、いつになく威厳たっぷりに響き渡った。


『喜べ!』


蓮が眉を上げる。


『貴様のために、特別なケーキを用意してやった!』


「…………」


『存分に味わうがよい!』


一瞬の静寂。


直後、大歓声が上がった。


「おおおおおっ!」


「特別なケーキ!」


「魔王から創造神様への贈り物だ!」


蓮は即座に言った。


「魔王じゃん」


『違う!』


「いや、今の完全に魔王だったぞ」


『祭事に適した口上を選択しただけだ!』


「『喜べ! 貴様のために用意してやった! 存分に味わうがよい!』なんて言いながらケーキ出す奴、魔王以外にいる?」


『黙れ!』


「ほら」


美冬が口元を押さえる。


その横でリシェルだけが真剣な顔をしていた。


「私は、かなり魔王らしいと思いました」


『リシェル』


「はい?」


『余計な分析は不要だ』


「分析ではなく感想です」


蓮が吹き出した。


「リシェル、強くなったな」


『開封せよ!』


「誤魔化した!」


REGULATORの言葉と同時に、巨大な箱から静かな機械音が響いた。


四方の外壁が分割され、花びらのようにゆっくりと外側へ展開する。上部も連動して開き、内部に収められていた純白の何かが姿を現した。


蓮と美冬が黙った。


リシェルだけが目を輝かせる。


「……美しい」


巨大だった。


人の背丈を遥かに超える多段構造。純白のクリームに精巧な花の装飾、繊細な飴細工。各段には色鮮やかな果実が配置され、最上段まで豪華な装飾が続いている。


どう見てもウェディングケーキだった。


蓮はしばらくそれを見上げた。


「……イザナミ」


『はい』


「俺、今日結婚するの?」


『その予定は確認されていません』


リシェルが蓮を見る。


「結婚?」


「リシェルは知らなくていい」


「なぜです?」


「いいから」


そう言われれば、当然気になる。


「美冬。このケーキと結婚に、何か関係があるのですか?」


蓮が振り向いた。


「美冬、教えるなよ」


「どうしようかな」


「おい!」


美冬は楽しそうに巨大ケーキを見上げた。


「地球ではね、こういうケーキは結婚式で使うことが多かったの」


「結婚式で?」


「そう」


リシェルは改めてケーキを眺め、それから蓮を見る。


「では、なぜ蓮の誕生日に?」


「俺が聞きたい!」


蓮は音声端末を睨む。


「魔王!」


『魔王ではない!』


「説明しろ!」


REGULATORは一瞬黙り、急に以前のような機械的な口調へ戻った。


『旧地球における大型祝賀用ケーキを比較検討した結果、多段式ウェディングケーキは視覚的祝祭性、大型化への適性、多人数への分配効率において優秀だった』


「結婚式用ってところ無視しただろ!」


『把握した上で採用した』


「もっと悪いわ!」


リシェルは二人のやり取りを見ながら、ぽつりと言った。


「私、最初に蓮たちと出会った頃は、人間というものをもっと神秘的な存在だと思っていました」


蓮がゆっくり振り向く。


「……今は?」


リシェルは少し考えた。


「聞かない方がよいと思います」


「言えよ!」


美冬が耐えきれず笑った。



      ◇



「これ、ケーキ入刀するのか?」


近くにいた人間の一人が何気なく口にした。


そばにいたエルフが聞き返す。


「ケーキニュウトウ?」


「ああ。こういうウェディングケーキは、二人でナイフを持って切るんだよ」


「二人で?」


「そう。普通は新郎新婦が――」


そこまで言って、その人間も気づいた。


「あ」


遅かった。


「地球の儀式なのですね!」


「創造神様ともう一人で切るのか!」


「では女性が必要なのでは?」


ざわめきが一気に広がった。


蓮の顔から笑みが消える。


「……おい」


美冬が一歩下がった。


「なんで下がった」


「嫌よ」


「まだ何も言ってない!」


「絶対嫌」


だがリシェルは下がらなかった。


むしろ興味深そうに尋ねる。


「二人で切ればよいのですか?」


「まあ……そうだけど」


「では、私が切りましょうか?」


「駄目!」


蓮が即答した。


リシェルが驚く。


「なぜです!?」


「絶対あとで話がややこしくなる!」


「ケーキを切るだけでしょう?」


「お前らの文化で百年後にどう伝わるか考えてみろ!」


リシェルは少し考えた。


「創造神が聖誕の日、選ばれし女性と巨大な供物を切り分け――」


「ほら!」


「ああ……」


ようやく理解したらしい。


美冬が笑いながら言う。


「賢明ね」


「美冬も他人事みたいに言うなよ」


周囲の視線が女性陣へ向かい始めている。


人間側は、この儀式が本来何を意味するのか知っている。だからこそ誰も名乗り出ない。


エルフ側は知らない。だからこそ期待に満ちた目で見ている。


蓮は視線を泳がせた。


そして。


目が合った。


少し離れた場所にアルベルトがいた。


手にはケーキの皿。


「…………」


「…………」


アルベルトはゆっくりと視線を逸らした。


「アルベルト」


「聞こえない」


「おい」


「聞こえないと言っている」


「ちょっと来い」


「断る」


「まだ何も言ってないだろ」


「お前が私を見る時の顔で分かる」


蓮が近づく。


アルベルトが下がる。


「待て」


「大丈夫だって」


「何が大丈夫なのだ」


「男同士なら変な誤解されない」


「この状況そのものが変だ!」


「親友だろ?」


「その言葉をこんな時だけ使うな!」


蓮はアルベルトの腕を掴んだ。


「来い!」


「離せ!」


会場から歓声が上がった。


「アルベルト様だ!」


「創造神様と共に幾多の危機を越えた勇士!」


「相応しい!」


「何が相応しいんだ!」


リシェルは連行されていくアルベルトを見送った。


「……なるほど。あの方法がありましたか」


美冬が答える。


「参考にしちゃ駄目よ」



      ◇



やがて二人は、巨大なウェディングケーキの前に並ばされた。


そこで蓮は、用意されていた入刀用の道具を見て眉を上げた。


一般的なケーキナイフとは少し違う。細身の金属刃に装飾されたグリップ。見た目は華やかだが、内部には明らかに何らかの機構が組み込まれている。


係の人間から差し出されたそれを、アルベルトが受け取った。


「……待て」


急に表情が変わった。


「どうした?」


アルベルトはブレードを目の前まで持ち上げる。


起動すると、ごく低い作動音が響く。刃そのものが、人間の目では捉えられない速度で微細振動を始めた。


「これは……超音波振動刃か?」


『肯定』


REGULATORが答えた。


『多層構造のケーキを崩さず切断するために用意した』


「ケーキを切るためだけに?」


『用途に適した道具を用意するのは当然であろう』


蓮が笑う。


「魔王、ケーキに本気すぎだろ」


『黙れ』


アルベルトはブレードをまじまじと眺めている。


「振動数は?」


『食器の仕様を確認して何をするつもりだ』


「興味がある」


「お前、さっきまであんなに嫌がってたのに」


「それとこれは別だ」


アルベルトは真剣だった。


「蓮。早く切るぞ」


「急にやる気出すなよ!」


「いいから持て」


「立場逆転してんじゃねえか」


蓮もグリップへ手を添えた。


二人がブレードをケーキへ押し当てる。


すっ。


ほとんど抵抗がない。


純白のクリーム、柔らかなスポンジ、果実。複数の層を通過しているにもかかわらず、ブレードは吸い込まれるようにケーキを切り進んでいく。


切断面も崩れない。


大歓声が上がった。


だがアルベルトだけは、歓声など聞いていなかった。


「……蓮」


「何?」


アルベルトは引き抜いた刃を凝視している。


「クリームが刃にまとわりついていない!」


「そこ?」


「見ろ!」


切ったばかりだというのに、刃にはほとんど何も付着していない。


アルベルトの目つきが変わった。


「……私の刀より切れ味が良くないか?」


「比較対象がおかしいだろ!」


「いや、待て。この性能なら甲殻系の魔物も――」


『食器である』


REGULATORが冷静に遮った。


「武器として転用できないか?」


『推奨しない』


「一本くれ」


『却下する』


「なぜだ!」


蓮が吹き出した。


「お前、俺とのケーキ入刀よりブレードの方が大事になってない?」


「当然だろう! この切断面を見ろ!」


「今日は俺の誕生日!」


「それとこれとは別問題だ!」


『その点については同意する』


「魔王まで乗るな!」


そのやり取りを少し離れた場所から見ていたリシェルが、美冬へ尋ねた。


「美冬」


「何?」


「地球の結婚式では、いつもこのような会話をするのですか?」


「絶対に違う」


「そうですか」


リシェルは安心したように頷いた。


蓮はアルベルトの肩を叩く。


「まあ、末永くよろしく」


「やめろ!」


『婚姻登録を実行しますか』


イザナミが淡々と尋ねた。


「「しない!!」」


二人の声が完璧に重なった。


その瞬間、会場から先ほど以上の大歓声が上がった。


リシェルも周囲につられて拍手しながら、美冬に尋ねる。


「今のは成功ということですか?」


「たぶん大成功」


「そうなのですね」


「美冬! 適当なこと教えるな!」


蓮の声が飛んできた。



      ◇



巨大なケーキはその後、切り分けられて参加者へ振る舞われた。


蓮が美冬とリシェルのところへ戻ってくる。


「いやあ、いい誕生日だな」


「よく言えるわね」


美冬が呆れる。


リシェルは蓮をじっと見た。


「何?」


「いえ」


「なんだよ」


「やはり、最初にお会いした頃とは印象がかなり変わったと思いまして」


「悪い方に?」


リシェルは答えなかった。


「おい!」


その時、美冬がアルベルトを見つける。


「あれ見て」


アルベルトはケーキではなく、回収されようとしている超音波ブレードを見ていた。


「……あいつまだ見てる」


「本当に好きね、ああいうの」


アルベルトが係の人間へ尋ねる。


「それはどこへ持っていく?」


「返却します」


「……そうか」


「欲しいんですか?」


「いや」


数秒。


「予備は?」


「アルベルト!」


「聞いただけだ!」


『貸与もしない』


REGULATORが釘を刺した。


アルベルトは見るからに不満そうだった。



      ◇



蓮は切り分けられた巨大ケーキを一口食べた。


「でも、うまい」


『当然だ』


REGULATORが即答する。


蓮がニヤッとした。


「なあ、魔王」


『何だ』


「今日の演出、かなり魔王っぽかったぞ」


『祭事に適した演出だ』


「『喜べ! 貴様のために特別なケーキを用意してやった! 存分に味わうがよい!』」


『真似をするな』


「もう完全に魔王じゃん」


『違う』


「キレてる?」


わずかな沈黙。


『各センサー、回路共に切れてはおりません』


蓮が止まった。


美冬もリシェルも音声端末を見る。


蓮の口元がゆっくり上がった。


「やっぱキレてんじゃん」


『切れてはおらぬ』


「絶対キレてるって」


『切れてはおらぬ』


「いやいや、キレてるって」


『キレてはおらぬ! 我をキレさせたら大したものだ!』


会場の一角にREGULATORの怒声が響いた。


一瞬、周囲が静まり返る。


そして蓮が腹を抱えた。


「キレてる! 完全にキレてるじゃねえか!」


『黙れ、天城蓮!』


「ほら! 魔王そのもの!」


『我は魔王ではない!』


「我って言ってるし!」


『貴様……!』


美冬もとうとう耐えられなくなった。


「もう諦めた方がいいんじゃない?」


『何をだ!』


「魔王」


『断じて違う!』


その声は、どこからどう聞いても魔王だった。


そんな二人のやり取りを、リシェルはしばらく黙って見ていた。


そして、ぽつりと呟く。


「……やはり変わりましたね」


蓮が振り向く。


「俺が?」


「いえ」


リシェルは音声端末を見る。


「お二人ともです」


『我を含めるな!』


「ほら」


蓮が笑った。



      ◇



日が傾き始めても、祭りは終わらなかった。


遠方から来た者たちは人間の料理を楽しみ、人間たちはエルフたちが持ち寄った食べ物に興味を示し、子供たちは種族など関係なく走り回っている。


蓮は少し離れた場所から、その光景を眺めていた。


二十八歳。


地球を出た時には、こんな誕生日を迎えるなど想像もしなかった。


数千年の眠りの先。


知らない星。


知らない文化。


自分たちが生み出した生命の子孫たち。


かつて魔王と恐れられていた管理機構が作った、四百種類を超えるケーキ。


空を飛んできた巨大なウェディングケーキ。


そして、アルベルトとのケーキ入刀。


「……最後のはいらなかったな」


蓮が呟く。


少し離れた場所から声が飛んできた。


「聞こえているぞ!」


アルベルトだった。


蓮は笑う。


「悪かったって!」


「絶対に許さん!」


「ケーキ食う?」


「いらん!」


数秒。


「……何味だ?」


「食うんじゃん」


「うるさい!」


蓮は皿を一つ持ってアルベルトの方へ歩いていった。


その背中を見送りながら、リシェルが小さく笑う。


美冬が気づいた。


「どうしたの?」


「いえ。ただ……」


リシェルは少し遠くを見るような目をした。


「初めて彼らを見た時、私は本当に神々が降りてきたのだと思ったのです」


空から降りてきた者たち。


未知の鎧。


理解できない技術。


圧倒的な力。


あの時のリシェルにとって、人間はあまりにも遠い存在だった。


美冬は少し笑う。


「幻滅した?」


リシェルは、アルベルトにケーキを押しつけようとして揉めている蓮を見る。


「いいえ」


少し考えてから続けた。


「むしろ今の方が、私は好きですよ」


美冬は何も言わず、笑った。


その頃REGULATORのもとには、各地から大量の問い合わせが届き始めていた。


《魔王印のケーキについて》


《魔王印菓子の販売予定》


《魔王印ケーキの取引希望》


《魔王印祝賀用ケーキの発注について》


『…………』


REGULATORはしばらく無言でそれらを処理した。


魔王印は、昨日よりも遥かに広く知られていた。


『…………天城蓮』


遠くで蓮が振り向く。


「んー?」


『覚えておれ』


「何を?」


『……何でもない』


蓮がニヤッとする。


「やっぱキレてんじゃん!」


『キレておらぬ!』


再び笑い声が上がった。


こうして創造神聖誕祭は、後世に語り継がれる盛大な祭りとなった。


ただし人間側の記録には、少しだけ違う名前でも残ることになる。


――天城蓮とアルベルト、謎のケーキ入刀事件。


そしてアルベルトの個人記録には、さらに別の一文が残された。


――超音波振動式ケーキブレード。要検討。


アルベルトが諦める気は、どうやらなかった。



――第五十九話 魔王からの贈り物 了

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