第61話 魂喰らいの炉
レムルは召喚獣にとどめの命令を下そうとしていたが、表情が固まった。
ようやく気づいたか?
僕の背後の召喚クリスタルは普段の青色ではなく、赤色の光を発していた。
「なんだ?それは」
声を振り絞り僕に尋ねてくる。
「【魂喰らいの炉】の効果で、僕の全ての召喚獣を喰わせた」
そう僕の召喚獣は砂嵐でやられたわけじゃない。
僕が【魂喰らいの炉】にプチマグマスライムを全て生贄に捧げ、召喚エネルギーに変換した。
一体一エネルギー。30体以上のスライムは全てエネルギーに変わっていた。
「‥だがエネルギーだけあっても何もできない」
「そう。
だからこれが最後の一枚」
僕はスペルを詠唱した。
「【火弾砲】充填」
僕の腕の一点に大量のエネルギーが集まってくるのがわかる。
全部は使わない。だが確実にタリスマンを打ち抜ける量を充填する。
「トオルのタリスマンを割れ!」
レムルの言葉に三体の看守が動く。
縄を引っ張られまたレムルの近くに転がされる形になった。
「狙いやすくなった。ありがとう」
「待て!やめろ!」
【火弾砲】が火を吹く。看守に加え、レムルの20個以上のタリスマンが全て吹き飛ぶ。
僕は残していた最後の召喚エネルギーで、召喚獣をよんだ。
「【火の使い】とどめを」
レムルが後退し、最後の一枚を取り出そうとする。
だが、その手が届くより早く【火の使い】が懐へ潜り込んだ。
炎をまとった拳が、レムルの胸を打ち抜く。
一瞬の静寂。
直後、監獄を揺らすほどの歓声が囚人たちから上がった。
歓声を上げる囚人たちの中で、看守だけが顔を青ざめさせていた。
監獄長が敗れた意味を、誰より理解している顔だった。
レムルが立ち上がる。
「完敗だ。約束通り監獄の秘密を教えよう。
だが準備がある」
準備?情報を渡す準備ってなんだ?
「2週間後使いをよこす。またここに来てくれ」
「わかった。
約束通りそれ以外は干渉しないように頼む」
リーゼが条件をまとめ、星儀戦は終わった。
2人で帰路に着く。
「ところで最初話していた、鎧が何とかって、何の話?」
「‥あぁ。前に野外研修に参加してもらっただろ?
あれが終わったら、僕がいい鎧をトオルに渡すって話だ」
そういえば野外研修の時、鎧をつけてるやつがいたな‥
「いや、鎧はいいかな」
「星儀戦の中には死ぬまで殴りあうルールもあるから必須なんだよ」
「‥そんなの絶対受けない」
「巻き込まれることもあるからお守り代わりに持っときなよ。死にたくないだろ?」
星儀戦って闇が深い。
レムル監獄長の監獄の秘密ってのも受けとっちゃいけない類の情報じゃないか?
僕は背筋が凍る様な気持ちがした。
「監獄の秘密、楽しみだね」
僕の従者は蠱惑的に笑う。




