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第59話 監獄デッキ

やがて監獄には人が満ちていた。


大量の召喚士にそれを見張る看守。歓声が、熱気がこの前の脱獄戦と桁違いだ。


「いいのか?僕が勝ったらさらに治安が悪くなるぞ?」


「だてに監獄長なんぞやってない。すぐに後悔させてやる」


僕とレムルは距離を取り、カードを構えた。

星儀戦スタートだ。


「先攻はもらう。【チェインハウンド】」


レムルは予定通り地属性の召喚獣だ。


レムルの召喚した、鎖をつけた犬が場に姿を現す。眼光が鋭い。

正体不明の能力が一つあるのがわかる。


「【火葬インプ】召喚」


僕の召喚した火葬インプにチェインハウンドから、鎖が伸び動きを止める。


【チェインハウンド】

能力

・次に対戦相手の場に召喚された召喚獣を拘束する。拘束された召喚獣は戦闘に参加できない。死亡時解除する


面倒だな。一体封じられた。


「行けチェインハウンド」


火葬インプを引きずったまま、僕に体当たりをかます召喚獣。

威力は弱いがしてやられた。


「【世話人】を召喚」

されるがままにはできない。

僕の火のデッキではパワーで押し切られる可能性が高い。僕は守りを固めた。


「続けていくぞ。【俊敏な看守ノリタケ】」


そこまで重量級の召喚獣は入っていないのかもしれない。僕が安堵した時、レムルのスペルが走る。


「【監獄】の結界をフィールド中央に」


結界?

効果と範囲は弱いが破壊されるまで永続的に効果を発揮する魔法。淡い光がフィールドの1/3程度を包んでいた。


その光の中、僕の【世話人】とレムルの【看守ノリタケ】がぶつかる。


まずい‥


本来なら相打ちのはずの二体。

一方的に僕の世話人が打ち負けた。


【監獄】(結界)

範囲内の敵召喚獣のパワーを-1する。

自分の召喚獣のうち看守の名前を持つ召喚獣のパワーを+1する


看守長だけあって並々ならぬ監獄へのこだわりを感じる。


しかし、これでいい。

世話人がやられた後、その懐からはマグマスライムが這い出し、世話人の後を埋める。


【世話人】

能力

・死亡した時デッキからコスト3以下のスライムを召喚する


さらにマグマスライムはすでにプチマグマスライムを生成し始めていた。


「火属性の召喚獣には驚いたがそれだけだな。

壁を作って逃げ回る。なんとも情けない話だ」


「何。こいつは強力な召喚獣だ。見て驚け」


レムルが堪えきれないといった様子で笑う。


「駆け出しは範囲スペルを持っていないかもしれないが、俺は違う。

その一枚では勝てないぞ」


勝手に言ってろ。目にものを見せてやる。


「【ファイヤスライム】を召喚だ。迎え撃て」


ファイヤスライムが看守ノリタケとチェインハウンドを引き受ける。ダメージ軽減の能力があるファイヤスライムはしばらく持つだろう。


脇ではプチマグマスライムが少しずつ数を増やしていた。


「【スライム農場】を展開」


【スライム農場】(結界)

範囲内でスライムが生み出される時、2倍のスライムを生み出す。


「よしこれで押し込む。【ぶん殴り看守リゾット】」


大きな棍棒を携えた看守。

地属性らしくパワーがでかい。

僕の貧弱なモンスターが正面から撃ち合っても勝てない。


プチマグマスライムで攻撃を受け止めて凌ごうとしたが、密集したプチマグマを三体まとめて薙ぎ払われる。


集めすぎたか。この速度で削られるとプチマグマがもたない。


「対抗策がないようだな。

このまま勝たせてもらう」


「そんなわけないだろ。スペル【マグマボム】」


僕はプチマグマスライムを生贄にしてスペルを唱えた。マグマボムは生贄が必要な代わりに威力が高い。


炎が凝縮したのち激しく弾ける。

僕のスペルは看守リゾットを巻き込み、大爆発を起こした。


「なるほど‥

生贄にするための種か」


それだけじゃない、同時に火葬インプが火弾をレムルに飛ばし、タリスマンが割れる。

攻撃は封じられていても能力は健在のようだ。


「つっ‥

どうやら君もコンセプトデッキのようだね。

だが私の監獄デッキの方が強い」


ここまでは序の口だ。僕にはまだまだ隠し札が残っている。


「しかし、スライムの壁が少しばかり邪魔だ」


そう言うと一匹の召喚獣を呼び出す。

召喚獣が手に持っているのは弓?


「【監獄の射手】よ、トオルを撃て」


監獄の射手が弓を引き絞り、その瞬間、僕のタリスマンは弾けた。

スライムの背は低い。地上のモンスターを足止めすることはできても飛び道具を防ぐことができない。


つっ‥

まずい。こちらは守備モンスターを並べているだけなのでこのままだと狙い撃ちにされて負ける。


「ふふ、脱獄者はどこまでも追われるものさ」


プチマグマスライムの数は8体。

生成速度は上がっているが看守に潰され続けていた。


「プチマグマ三体をコストにあてて【溶炉巨兵ガルガン】を召喚する」


プチマグマスライム三体が溶け合い、赤熱した巨大な炉へと変わる。

炉の中から鋼鉄の腕が突き出し、炎をまとった巨兵が地面を踏み砕いた。


【溶炉巨兵ガルガン】。


僕のデッキに入っている、数少ない大型召喚獣だ。これで飛び道具からの盾を確保しながら、タリスマンを削る矛とする。


プチマグマスライムを生贄にした結果、火葬インプから火弾が飛びレムルを削る。


ガルガンが腕を振るう。チェインハウンドが鎖ごと吹き飛び、火葬インプの拘束が解けた。


強力な大型モンスターが場に出て、オーディエンスである囚人の盛り上がりは最高潮。


しかし、レムルは薄い笑いを崩さなかった。


まだ対抗策が残っているのか?

こいつを処理されると少しまずい。


【溶炉巨兵ガルガン】属性 火

コスト 7

パワー 7

タフネス 6

位相 地

能力

・召喚時、召喚獣3体をコストとして生贄に捧げ、そのパワータフネスを加算する

・???

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