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第57話 監獄からの招待状

リーゼとの勝負を終えた後、少し照れ臭そうに口を開く。


「今回は負けたけど、君にカードの相性を考えたコンボデッキは組めるのかな?」


コンボデッキ?

僕のお箱だぞ?

そろそろ僕の実力を見せつける時が来たか?


僕が黙ったのを見て、リーゼは机の方に向かい手紙を差し出した。


「これ、君宛てに来てたぞ」


封が開いとる‥


「危険がないかチェックしただけだよ。

中身は読んでない」


なるほど‥

別に危険があるとも思えないが、リーゼが事前に確認してくれているならさらに安全か。


「しかし、手紙なんてもらう心当たりないんだけど」


中身を取り出すと羊皮紙には丁寧な文字が飛び込んでくる。


「何々?

拝啓 ミクリヤ トオル様


突然の書状にて失礼いたします。

一度、監獄にてお話ししたく存じます。

明日、迎えを差し向けますので、ご同行いただければ幸いです。


監獄長 レムル」


リーゼが首を傾げる。


「監獄に改めて呼ばれる理由なんてないはずだけどね‥

君また何かやった?」


こんどばかりは僕にも心当たりが一切ない。


「知らないよ。

監獄とはあの後、関わってないの知ってるだろ?」


「それもそうか。

だとすると報復か?」


「これ無視したらまずいかな?」


「構わないけど付き纏われる可能性が残る。

なんとかする方がいいね」


僕の従者は頼もしい。


「まぁ、わざわざ招待状が来たってことは、無理矢理何かする気はないんだろ。

とりあえず話を聞いてみたら?」


一理ある。

とりあえず監獄で話を伺ってみるか。

方針を固めた僕は、その日は床に就いた。


翌朝ノックの音で目を覚ます。


あぁ迎えか。

監獄に連れて行かれる。

あまり気分のよいものではない。


「少し待ってくれ」


リーゼと共に身支度を整え、扉を開ける。


「トオル殿、監獄長レムルの名によりお迎えにあがりました」


兵士が恭しく頭を下げる。

前回とえらい違いだな。まぁ犯罪者と客人だから仕方ないか‥


兵士に連れられるままに馬車に乗り込む。


「しかし、驚きましたよ。

同じ召喚士を迎えに行くことになるとは」


「要件を聞いてないんですが、どういった内容で?」


「それは監獄長から直接お聞きください。

何、悪い話ではないですよ」


嫌な予感しかしない。


馬車に揺られること少し。懐かしのラナ監獄に到着した。


「ここにまた来ることになるとは‥」


「僕は悪い印象ないけどな」


僕の言葉にリーゼが答える。

リーゼはオブザーバーだったからよかったかもしれないが、逆に僕はそこまでいい思い出はない。


「ささっ、監獄長がお待ちです。

こちらにどうぞ」 


兵士に案内されるままに歩を進める。


大きな扉が現れた。

兵士が扉を開ける。

そこには以前見た大男。監獄長レムルが座っていた。


「やぁ、君がトオルだね。ほらそっちに座ってくれ」


促されるままにソファに座った僕はレムル監獄長の姿を改めて見て驚いた。


前よりえらく痩せたな‥


目の周りにはクマが濃く疲れた様子が伺える。


「お体が悪そうに見えますが、何かありました?」


「つい最近、脱獄戦に勝って堂々と出ていった二人組がいてな。そのせいで、囚人たちがすっかりその気になってしまった。

恥ずかしながら監獄内の治安が悪化しているんだ」


恨みがましい目で僕を見る。


あぁ僕と火野が脱獄戦に勝ったせいで影響が出てるのか。けれどそれがルールだから仕方ないだろ。


「それで監獄長が何の用だ?」


遠回しの嫌味をリーゼが踏み潰す。

監獄長は鼻をかいたあと話を始めた。


「何。スカウトだ。

ミクリヤ トオル。

君は監獄の看守になる気はないか?」


一瞬理解が追いつかなかった。

看守?功績値が足りなくて囚人だった僕が?


「そんなに変な提案をしていないだろう?

囚人たちの希望だった脱獄者が看守に回る。

やつらも大人しくなると思わないか?」


確かに脱獄したやつが看守側に抱き込まれていたら、相当嫌かもしれない。


「僕にメリットのない提案は受けられませんよ」


「だろうな」


レムルが大きく頷く。


「だが条件を聞いてからでも遅くないだろ?

給金は月に大銀貨3枚。

昼食は監獄で出す。

週に2日は休みだ」


僕の反応を伺いながら続ける。


「仕事の内容は、君も知ってるだろ?

囚人を見張り、管理する」


条件は悪くない。大銀貨3枚はでかい。

銅貨300枚分。僕の一日のバイトが銅貨6枚だから月に銅貨120枚か。

倍以上‥


バイトから正社員にって感じだな。

正直ここの仕事いつも暇そうだし、雇われるのも悪くないな。


レムル監獄長の言葉を鵜呑みにするわけではないが、治安悪化も僕が看守になれば多少はマシになるかもしれない。


「さらに従者と別々に部屋を用意しよう。

どうだ?」


僕はかなり提案を受ける側に偏っている。

少し交渉すれば条件は上がるだろうか。


その時リーゼが口を開く。


「お断りする」


僕の従者は勝手に僕の就職を断っていた。

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