疲労
「ただいま〜」
「おかえりーーー」
2階からシガミの声が聞こえる。漫画読んでるんだろうな。私はギターを玄関に置きフラフラとお風呂場へ直行する。帰りも電車だったとはいえ駅から家までそこそこあるのでもう体力の限界だった。塩の匂いがする服を洗濯機に入れ、流れるようにシャワーを浴びた。
風呂から上がって軽くドライヤーをかけた後、リビングへ行き、ソファーに寝転ぶ。そして今日を振り返った。
『え、私今日春谷くんの前であんな弾き語りを恥ずかしげもなくしたの?え、ちょっと待って』
恥ずかしい恥ずかしい!なんであんなことしたんだろう。意思か、意思が弱いのか?私はのたうち回った。
「イテッ」
壁に足をぶつけた。ぶつけた痛みと暴れた疲れで放心していると上からシガミが降りてきた。
「大丈夫?なんか音聞こえたけど」
「うわっ、びっくりした。天井を透けて降りてこないでよ。」
シガミは多分人間だったという疑いが最近さらに強まった。シガミは壁とかをすり抜けれるくせにちゃんと廊下を通る。ドアもわざわざ開けるし。私は透けるという感覚はわからないが透けることができるなら私は多分ドアとか開けない。ねぜそんな非効率なことをするんだろう。シガミは自分の事を語らない。ちょくちょくジャブのような質問をするがのらりくらりとかわされる。私は諦めが悪い人間でもあるのでたまに真剣に聞くことがある。
最初の方は
「いや〜そんなこと来てもつまらないよ〜死神は死神でそれ以上もそれ以下もないよ〜」
とダラダラと私が折れるまで話し続けていたが最近は慣れたのか
「シガミ。ちょっといい?」
「なんだい?」
「シガミの過去についてなんだけd」
文脈から私の聞きたいことがわかった瞬間に壁を透けてどこかへ行ってしまうようになった。こうなったら詰みなので私は諦めざるを得ない。なんでそこまで言いたがらないんだろう。死神界の禁則事項なんじゃないかと最近思うようになってきた。
でもやっぱり、気になるな〜。
「そういえば今日はどうだった?福山くんとのデートは。」
くすくすと笑いながらシガミは言う。
「だーかーらー、そんなんじゃないって」
「でも清華は彼のことが好きなんだろう。デートって解釈した方が良くないかい?」
「いや、私にとってあれはデートではない。」
「じゃあ、今日のはなんだったんだい?」
「、、普通に遊び?」
「年頃の男女が二人きりで?遊ぶ?ふ〜〜ん」
シガミは大正の頃から存在してたらしいけどこれまでの人たちにもこんなめんどくさい事をしてたのか。
「はいはい、ん?」
スマホからぴこんと音が鳴った。画面を見るとメッセージがきている。
『今日は楽しかった!ありがとう』
春谷くんからだった。なんだ、お礼のメッセージかと肩を落とす。いや別に特に他のメッセージを期待してたわけじゃないけど。
『私も楽しかった!また行こうね!』
そう送ってスマホを机に置く。そして立ち上がってグッと背筋を伸ばす。そのままな荒れるように部屋へ行き倒れ込むようにベットへダイブして眠った。




