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死神の願い  作者: 須景夜々


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8/13

水も滴るいい男?

「それにしても暑いね〜」

暑い中ギターを背負って歩いてる私の横で彼はアイスを頬張りながらそういった。私は息を切らしながら「そーだね」と答える。私たちは公民館を出て海に向かって歩いていた。コンクリートから熱が伝ってくる。あの時自信満々に行くなんて言わなかったらよかったと少し後悔する。途中途中でコンビニやベンチで休憩を挟みつつ歩いていると海が見えた。

「福山〜もうすぐつくよ」

「ゼエゼエ、やっと?」

後50メートルくらいだろうか?水平線が見える。もう少しだと、私は背負っているリュックをグッと背負い直す。5分ほどさらに歩き砂浜に着いた。

「つ、着いた〜」

「お疲れさん」

私はギターバックをそこにあった石に立て掛ける。公民館から約30分ほど歩いた。もっと早く着くと思ってたのに。疲れた。足が悲鳴を上げている。

「今何時?」

「2時半。せっかく来たんだし水浴びしようよ」

そう言って彼は海に向かってダッシュし始めた。「え、ちょっと待って」と言いながら私も追いかける。

「いやっほーーーう」

バシャーンと強烈な音を出して彼は海にダイブした。

「福山もおいでよ」と彼は海から顔を出しながら私を誘ってくる。今日、服を選ぶときに私は「年頃の男女が二人きりでお出かけ?ちょっと待って」と勝手に熱くなってお気に入りの服を着て来てしまった。まさか海に行くなんて考えてなかったから水着なんて持ってきてない。どうしよう。

「しょうがないか、」

私はロングスカートの端を折って膝より少し下まで海に浸かる。

「冷たっ」

「ハハハハハ」

笑ってくるから私は彼に水をかける。

「やったな〜そーれっ」

そう言いながら彼は油断し切っている私に向かって思い切り水をかけてきた。

「わあっ待って待って」

避けようとするも水の抵抗のせいで避けれなかった。

「このっ」

そう言って私も水をかける。できるだけ多くかかるように手にいっぱいの水をすくってかけた。

「アッッハハッハハ」

「ふふっアハハハ」

私たちは狂ったように水を掛け合った。服は塩水に弱いとかなんとかおばさんが言ってた気がするけど覚えてない。帰って洗濯しないといけないな。服がびしょびしょだ。

「あ〜楽しっ」

満面の笑みで海から上がってくる彼を見て若干の苛立ちを覚える。しかし改めて顔を見るとやっぱりかっこいいな。ギラギラしたかっこよさじゃなくて涼しい感じのかっこよさだ。水も滴るいい男って表現はここにも当てはまるだろうか。キラキラした彼をただ見てしまう。

「ん?どうかした?」

彼の声を聴いてハッとする。見惚れていた。多分顔が赤い。

「なんでもないっ」

プイッと後ろを向く。バレてないといいな。私はギターを立てかけている石に座る。幸い空は快晴なので服は早く乾きそうだ。

「あ〜疲れた」

「僕も〜」

そう言って彼は私の横の石に座った。ポタポタと水滴の落ちる音が聞こえる。私の顔はまだ赤いだろうか。ああ恥ずかしい。

「楽しかったな〜。30分くらいバシャバシャやってのか。笑えてくるね」

「ほんとにね。これからどうする?」

「今日は解散しようか。なんか疲れちゃった」

「わかった」

「でもちょっと待って。服を乾かしてから帰ろう。」

「そうだね」

そう言って私たちは水平線眺めながら服を乾かした。


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