きっと君に伝える
「ここは、、、僕は手術中じゃ、」
真っ白い部屋だ。何もないし誰もいない。
「君は死んだんだよ。」
「うわっ」
びっくりした。誰だこの人は。いや、人じゃない?
「死んだってどういうことですか。僕は手術中じゃ、」
「自己紹介をしよう。君はしなくてもいいよ知ってるから。私は死神。シガミとでも読んでくれ。君の詳しいことは知らないけど、ここにきたってことは死んだんだ。」
「そうですか、」
死んだのか僕は、。なんだか実感湧かないな。これからどうなるんだろう。転生とかするのかな。
「で、君はこれから、今までの人生を振り返ってもらいます。」
「え?」
困惑しているとあっという間にこの空間が映画館になった。
「え、は?」
「座りなよ。ポップコーンはいるかい?」
ポップコーンは断り、真ん中の席に座ってスクリーンを見つめる。
シアターの電気は消え、ジーっと音が鳴り映画が始まる。
「これから見るのは君の人生だ。映画風にまとめてあるから、自分を客観視して楽しんでね」
クスクスと笑いながら言う死神に少しの殺意が芽生えるが怖いので黙った。
映画が始まった。結構よくできているが歌がないのは少し残念だ。
「君ってずっとピアノ弾いてたんだねえ」
「まあ、それくらいしかすることもなかったんだよ。親は仕事だし。」
「ふ〜ん」
シーンは中学校へと変わる。
「またピアノかい?」
「またピアノだよ。ていうか中学校はずっとピアノ。」
何にも面白くない、つまらないシーンだ。
周りからはこんなふうに見えてたのか。
惨めだな。ピアノにしか目を向けず、ひたすら逃げている。誰も僕を見ていない。
高校へ舞台は変わる。
「おや、音楽室に来たけど誰だい?」
「僕のファンらしい」
「ファン?面白いね」
「彼女がいろいろ励ましてくれたんだ。」
「君のことを見てくれたのかい」
「うん。彼女は見てくれたよ。」
「そう。彼女には病気のことは教えたのかい?」
「なんで知って、、」
「言ったじゃないか知ってるって」
そういえば言ってたような気がする。あの時はそれどころじゃなかったし。
「思えば彼女のおかげで僕はまたピアノが弾けてやりたかっとことに決心がついたんだ。」
「救われたんだね」
「うん、、作った曲は彼女に僕が生きてたら返してって言ったんだけど、無理になってしまった」
「まだ、現世に未練があるんだね。」
「彼女に会うまでそんなこと思わなかったと思う。」
映画を見れば見るほど僕のことがわかる。自分はこんなに楽しそうに喋ってたのか。
「君は彼女のこと、どう思ってるの?」
「恩人で、一人のファンで、、、。」
「で、?」
「僕は彼女のことが好きだよ」
そうだ。この気持ちを僕はあの曲に注いだんだ。生きて、弾くときに言おうと思ってたのに。
「まだ生きたい?」
「、、そりゃあね」
「それが聞きたかった。君。まだチャンスがあるよ。」
「え?それはどういう」
「死神である私が君の魂を現世に連れ戻す。まだ遅くない。決めるなら今だよ。」
「僕はまだ生きたい。」
「よろしい。じゃあ目を閉じて、ここで起きたことは他言無用だ。誰にも喋らないと誓えるかい?」
「ああ、誓うよ。」
「わかった。」
そう言って僕は意識を失い。、目が覚めた。




